研究課題/領域番号 |
19K11527
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
川田 茂雄 帝京大学, 医療技術学部, 准教授 (20376601)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メバロンサン経路 / スタチン / 脂質異常症 / 骨格筋 |
研究実績の概要 |
骨格筋再生には筋芽細胞の増殖と筋管細胞への分化が必須である。今年度はこれらの反応に影響を与える因子の探索と、その評価法の確立を行った。これまで、細胞内のエネルギー供給に多大な貢献をするミトコンドリアの機能障害が筋芽細胞の細胞分裂能にネガティブな影響を与えることが報告されている。実際に本研究でも、ミトコンドリアの膜電位が正常範囲から逸脱する条件では細胞増殖能が減弱し、膜電位の逸脱を防ぐような培養条件では増殖能が影響を受けないことを確認した。また、ミトコンドリアの膜電位に影響を及ぼす培養条件であっても、ある一定範囲内であれば細胞増殖能は影響を受けるが、分化能は影響を受けないことも確認した。このことから、細胞増殖と分化ではその反応に要するエネルギー量が異なることが示唆された。 細胞増殖を引き起こす細胞内シグナル伝達がいくつか知られているが、本研究において数種類の方法で細胞増殖を高めて、その際の細胞内シグナル伝達経路を確認したところ、細胞増殖を促す刺激の種類が異なると、細胞増殖に使われる細胞内シグナル伝達も異なる可能性を示唆する結果が得られた。 本研究では、コレステロール合成阻害剤であるスタチンを細胞刺激の材料として用いている。細胞培養時にスタチンを培地に添加すると、ある一定以上の添加量では細胞毒性があるが、添加量によっては必ずしも細胞に対してネガティブな影響だけが出るわけではないことをこれまでに確認している。今年度は、これまでに確立した実験系を用いて、スタチンの筋芽細胞への影響を詳細に検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度はCOVID-19の流行により大学での業務である講義実施形態の大幅な変更を余儀なくされ、その準備に多大な時間を割くことになった。また、全国的な緊急事態宣言により政府による外出の自粛要請等もあり研究へのエフォートが著しく低下してしまい当初の研究実施計画の遂行が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、実施予定であったスタチンによる細胞内シグナル伝達への影響を詳細に検討する。また、動物実験室の改修が済んだことから、延期していたin vivo研究を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はCOVID-19の流行により、予定していた実験を全て行うことが出来なかったため消耗品の使用が減少し、繰越金が出た。今年度はin vivo研究も実施予定のため動物の飼育飼料代としての研究費使用を予定している。
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