研究課題/領域番号 |
19K11528
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
押見 大地 東海大学, 体育学部, 講師 (40711205)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | メガスポーツイベント / 社会効果 / 開催地域 / イベントレバレッジ戦略 |
研究実績の概要 |
本年度は、ラグビーW杯2019を研究文脈として、大会がもたらした社会効果を検証するために、開催地域住民(東京都)を対象としたオンラインでの縦断調査(n=617)を大会3か月前および大会終了5か月後に行った。評価項目は、主に、1. 経済活動の促進、2. イメージ・認知度の向上、3. 多様性への理解・新たな機会の獲得、4. 地域での一体感向上、5. 快感情の獲得、6. 社会関係資本の構築促進、7. スポーツへの興味促進、8. 開催経費の過負担、9. 混乱や混雑の増加、そして10. 不安感の増幅であった。対応のあるt検定を行った結果、全般的に、大会前に比べて大会後の数値が統計的に有意に低くなる傾向が見られた。例えば、経済効果の促進、地域での一体感の向上、社会関係資本の構築促進、開催経費の過負担、混乱や混雑の増加、そして不安感の増幅は全て大会前の値が高くなった。唯一、快感情の獲得が開催後の値が開催前に比べて有意に大きく高かった。これらを踏まえると、快感情の獲得といった感情的な社会的効果以外は、大会前の期待を上回ることが出来なかったことが推察される。 本年度行ったもう1つの調査として、各開催地域(それぞれ約100サンプル程度)における社会効果の差の検証を行った。調査の目的は、開催地域間での差の検証を行いより効果の高かった地域を抽出することで、もう1つの研究目的である大会の開催に伴う効果を最大化した地域の事例の選定に繋げることにあった。調査の結果、特に釜石市、東大阪市、熊本市の数値が高い傾向が見られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、社会効果の縦断調査をイベント前後で2回行い、イベントレバレッジ戦略の調査に向けた情報収集を計画していた。結果として、社会効果の縦断調査は予定通り2回行い、その上でイベントレバレッジ戦略の調査に繋げる情報収集としての別の調査も行い、調査地選定の有益な結果を得ることができたため、計画としては順調といえる。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度については、2020年の7月から開催予定であった東京2020が延期となったことから、研究計画の変更をしなければならない。当初は、本年度に調査を2回行う予定であったが、大会が延期となったことから調査回数を減らし、調査項目の再検討などを行っていく予定である。特に、新型コロナウィルスによる影響は、本リサーチの結果にも大きな影響を及ぼすことが予想されるため、これらの影響を調整できるような変数の選定を丁寧に行っていきたい。イベントレバレッジ戦略の調査については、本年度中に少なくとも2か所の調査地を選定し、インタビュー調査を行っていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2019年度予算に対する使用額の端数として138円が残ったが、研究計画の遂行に大きな影響はないと思われる。
|