本研究では、球技スポーツにおけて、試合や練習時に得ることの出来る選手の位置情報や移動量や移動軌跡から「どのように」、「どのような」といった質的行動を、可能な限り人の依存せずに計算機を用いて評価する手法のためのデータモデルを開発することを目的とした。 新型コロナ感染症蔓延による行動制限や無観客試合などの影響で、GPS・UWB での選手移動量計測や2次元DLT法にて分析するための映像の取得が困難であったので、新たな代替えデータ収集方法および分析方法として、TVやインターネットで放送されている試合映像を用いて、攻撃選手達の移動軌跡を手書きにて作画し攻撃パターン画像を作成した。試合のセット攻撃シーンでの攻撃者たちの行動パターンがイラスト作成アプリケーションを用いて描写され、1172枚の画像データとして保存された。作成された画像から24の攻撃行動パターンに分類してデータセットを作成した。学習効率を向上させるために、すべての画像は左右反転複製し、データの拡張を行った。それぞれのクラスにおいて、教師付モデルを構築するために75%のデータ画像をトレーニングに用いた。残りのデータ画像の25%は、モデル検証のために使用された。これらの画像を用いた機械学習にはGoogle社のTeachable Machine(https://teachablemachine.withgoogle.com/)を使用した。Teachable Machineの詳細設定では、エポックを50、バッチサイズ16、学習率を0.001に設定した。 その結果、本研究での24種類の攻撃行動パターンの分類においては、89.3%の精度を達成し、ハンドボールの攻撃戦術を作画された画像から分類できる可能性を示した。(https://teachablemachine.withgoogle.com/models/Pn_MiDSv-/)。
|