研究実績の概要 |
運動・トレーニングは、アスリートの競技力向上だけでなく、一般者の生活の質の向上や代替医療としての役割を持つなど幅広く実施されている。運動・トレーニングの効果の個人差には、遺伝的な影響も報告されているが、詳細な研究はなされていない。本研究課題では、特に筋力トレーニングの効果の個人差についての遺伝特性を明らかにすることを目的として、1)遺伝子多型、2)レジスタンス運動前後の遺伝子発現、さらには3)エピジェネティクスの観点から検討する。 初年度は遺伝子多型についての検討を行った。健康な男女47名(男性16名、女性31名)を対象として筋力トレーニングを8週間行った。トレーニング種目はベンチプレス、スクワット、スティフレッグデットリフト、ワンハンドロウ、バーベルランジであった。いずれの種目も10-12RMの強度で3セット行った。測定項目は、1RM, 脚伸展筋力、大腿部筋厚、柔軟性であった。遺伝子多型の解析は、唾液からDNAを抽出し、Taqmanprobe法にて解析をおこなった。初年度はACTN3, CNTFR, ACE, MCT1, ESR1などのパフォーマンスや筋力との関連性が報告されている遺伝子多型について検討した。ACTN3遺伝子R577X多型の多型間において筋力トレーニングに対する適応の違いは男女ともにみられなかった。Effect Sizeを検討したところ、特に男性においてXX型のトレーニング効果が大きい傾向が見られた。今後その他の遺伝子多型についても検討する予定である。
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