本研究は、エルゴメーターを活用したカヌースプリント選手の漕パワー測定装置を開発し、現場の指導に活かせるデータの活用方法(新しい評価変数、評価方法)の開発を行うことを最終目標としている。そのために、本研究では、3ヶ年で4つの研究課題を設定してたが、コロナ禍の影響をうけ計画を1年間延長した。研究初年度にカヌースプリント選手の漕パワー測定装置の開発・改良に取り組んみ、練習用のカヌーエルゴメーターを改良し、エルゴメーターを漕ぐ際にかかる牽引力(N)の2つのアナログデータを計測できるようにした。2つのアナログ信号データは、ケーブルを介してAD変換装置に取り込み、デジタル化された信号をUSBを介して送り、コンピュータで同時にサンプリングできるシステムを構築した。また、サンプリングされたデータは即座に計算式に当てはめ、パワー発揮値の時系列データに変換し、波形表示が可能な状態にした。最終年度は、本来、トップレベルの選手と一般的な選手のパフォーマンスの比較を行う予定であったが、コロナ禍の影響を受け、トップレベルの選手の測定が難しい状態であったため、一部、研究計画の見直しを行い、個人の中で高いパフォーマンスを発揮できた時とできなかった時の比較を通して、カヌーエルゴメーターによって選手の漕パフォーマンスの優劣を比較できるかを実証した。具体的には、姿勢条件の違いによる影響がパワー発揮値に影響を及ぼすか、あるいは、異なるウォームアップ条件後に200mを想定したエルゴメータによる漕パフォーマンス測定を行い、200mのタイムが速い時のパワー発揮値の変化を検討し、詳細を明らかにした。また、測定で得られたデータを利用し、学会発表2回を実施した。
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