研究課題/領域番号 |
19K11537
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研究機関 | 至学館大学 |
研究代表者 |
村上 太郎 至学館大学, 健康科学部, 教授 (10252305)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 筋肉アルブミン / レジスタンス運動 / 単離筋線維 |
研究実績の概要 |
レジスタンス運動によって骨格筋で増大するアルブミンが、筋線維内に存在するのか否かを明らかにするため、筋肉から筋線維を単離し、ウエスタンブロット法でアルブミンの検出を試みた。ラットの下肢に等尺性のレジスタンス運動を負荷した直後に腓腹筋を摘出し、4%パラホルムアルデヒド/PBSで3日間固定した。その後、パラホルムアルデヒド溶液を30%スクロース/PBSで置換した。固定/置換された腓腹筋をナイフで8 mm3キューブに切り出し、30%スクロース/PBSに浸漬させた状態で、実体顕微鏡下(15~40倍)で2本の鑷子を用いて筋線維を単離した。単離においては、初めに15~20倍程度の拡大率のもと筋肉の塊を解してから筋束を分離し、次いで40倍のもと筋線維を単離した。筋束を構成する膜様の構造物と筋線維の周辺に結合している粘着性の構造物も筋線維外成分として採集した。約5 mmの筋線維10本とそれと同程度の容量の筋束および筋線維外成分をウエスタンブロット用の2×サンプルバッファーで直接溶解し、抗ラットアルブミン抗体を用いてウェスタンブロットでアルブミンを検出した。その結果、アルブミンは筋束と筋線維外成分で検出されたが、筋線維では検出されなかった。一方、βアクチンとG3PDHは、筋束と筋線維で検出されたが、筋線維外成分では検出されなかった。以上の結果から、10本程度の筋線維を用いてウエスタンブロットができることが明らかになった。一方で、単離した筋線維でアルブミンが検出されなかったことから、レジスタンス運動によって骨格筋で増大するアルブミンは筋線維ではなく間質に存在することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度の当初の計画は、先天的遺伝子欠損による無アルブミンラット(Nagase Analbuminemic Rat, NAR)にレジスタンス運動を負荷して、筋肉アルブミンが筋肉のたんぱく質合成の増大に必要か否かを明らかにすることであった。しかし、安定的にラットを飼育する環境が整わなかったためにトレーニングを実施しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に計画していた2つの実験、すなわち、1)NARにレジスタンストレーニングを負荷した場合、筋肉の肥大が抑制されるか否かを明らかにする、2)NARにレジスタンストレーニングを負荷した場合、たんぱく質合成の増大が抑制されるか否かを明らかにする、を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
先天的遺伝子欠損による無アルブミンラット(Nagase Analbuminemic Rat, NAR)にレジスタンストレーニングを実施する予定であったが、ラットを安定的に飼育する環境が整わなかったためトレーニングおよびそれに伴う分析等を実施しなかったため。
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