レジスタンス運動によって筋肉で増大するアルブミンが、筋肉の増大に関与しているか否かを明らかにするため、無アルブミン血症を呈するNagase Analbuminemia Rat (NAR) にレジスタンス運動を負荷し、通常のSprague Dawry Rat (SD) に比べて筋肉の増大が小さいか否かを明らかにすることと目的とした。10週齢のSDとNARの雄ラットをそれぞれ4匹用いた。左脚と右脚をそれぞれ、非トレーニング脚とトレーニング脚とした。電気刺激装置とトルク測定器を用いて、1日おきの等尺性筋収縮トレーニングを下腿三頭筋に計10回負荷した。最終トレーニング時には、両脚の単収縮と強縮による最大トルクを測定した。最終トレーニングの48時間後にラットを屠殺し、両脚の腓腹筋と前脛骨筋を摘出し、重量を測定した。トレーニングの結果、SDでは腓腹筋と前脛骨筋の重量が有意に増大したが、NARでは増大しなかった。単収縮における最大トルクは、SDもNARもトレーニング脚と非トレーニング脚で差がなかった。強縮における最大トルクは、SDとNARのいずれでも、トレーニング脚は非トレーニング脚に比べて有意に高値を示した。以上の結果から、レジスタンス運動によって筋肉に出現するアルブミンは、筋肉の増大に関与することが明らかになった。NARではレジスタンストレーニングによって筋肉が増大しないにも関わらず最大トルクが増大した理由に、神経系の適応が示唆された。
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