研究課題/領域番号 |
19K11538
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研究機関 | びわこ成蹊スポーツ大学 |
研究代表者 |
佃 文子 びわこ成蹊スポーツ大学, スポーツ学部, 教授 (10292541)
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研究分担者 |
金森 雅夫 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (90127019)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 近点距離 / 輻輳 / 脳振盪 / 平衡機能 |
研究実績の概要 |
本研究では発達特性が多様な脳機能を平均値で評価するのではなく、姿勢制御や認知などの脳機能の個人値変動(Longitudinal values)を使って、日常的なスポーツ活動の影響やを行い、脳振盪回復期の評価の信頼性と妥当性について明らかにすることを目的とする。 2019年度の計画は、スポーツ活動における脳機能の個人値変動を評価する対象集団の決定と研究の同意を得るためのプロセスを経ることであった。このため研究拠点地で研究倫理申請などの手続きを行い、被験者候補としていた、滋賀県内の大学体育・スポーツ系学部の女子バスケットボール、ラグビーフットボール競技者を対象に研究参加の依頼と同意を得た。 衝突系競技の対象者に、脳振盪の既往の有無に関する調査と、脳機能の前庭機能の評価項目として近点輻輳距離(Near point convergence)と重心動揺の測定、さらにそれぞれの項目に影響を与える可能性のある視機能評価や足部を中心とした機能的安定性の調査などの断面調査を実施した。各測定には2名の測定補助者へ協力を依頼し、測定を実施している。また比較対象群として同じ年齢群の一般対象者にも調査協力への依頼を行い、近点輻輳距離(Near point convergence)の評価を一部実施した。脳のストレスホルモンの測定は、測定実施までの手続きや測定手法の習熟に時間を要したため、断面評価は実施しなかった。 ラグビーフットボール競技者の脳振盪既往歴と視機能と平衡機能の関係について、探索的に検討した結果、脳振盪受傷後の少なくとも3カ月期間は姿勢制御に影響を残している可能性が示唆された。これらの研究成果は、2020横浜スポーツ学術会議にて発表するための手続きを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付決定から研究倫理の申請を行い手続きを進めていたが、対象者の絞り込みや手続き等のスケジュール調整が困難であったため、当初の追跡集団の全てを決定できていない。特に衝突系のラグビー競技者集団については、秋季・冬季が主要な競技大会期間であったため、測定のための手続きが遅れ、調査測定の日程の調整や確保が困難であった。2019年の12月には第一次の調査測定を実施したが、2.3月に予定していた測定については、新型コロナウイルス蔓延の影響により、予定していた一次評価を全て終えることが出来ていない。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年(2020年)の10月から,対象集団のスポーツ活動に伴う傷害発生について前向き調査を開始する.期間は2年間とする.研究期間中の脳振盪受傷者および問診による既往者について追跡調査として,各種の脳機能評価測定・精密検査を開始する.測定項目は,静的バランステスト・動的バランステスト,認知機能(Stroop test),視機能検査(Near point convergence),体組成,免疫指標検査,神経内科学的検査,を予定している.また第一クラスターは,各測定項目を約一か月に2度の頻度で評価を実施し,得られたデータについてモニタリングを行う予定である. 令和2年(2020年)4月から 追跡の同意を得られたクラブ集団について断面調査(前向き検査項目)を実施し,第二次クラスター(既往歴有群・既往歴無群)とし個人変動値を解析する予定であったが,新型コロナウイルスの影響により,9月以降に評価を開始するように計画を延期している.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の追跡集団はある程度決定できたが、繰り返し測定等の評価実施まで至れなかった。そのため繰り返し測定を想定した被検者への謝金やデータ処理のための謝金の支出が少なかったことが影響している。2020年度以降にこれらの測定評価を実施するため、次年度の経費に使用する予定である。
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