研究課題/領域番号 |
19K11541
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
安陪 大治郎 九州産業大学, 健康・スポーツ科学センター, 准教授 (10368821)
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研究分担者 |
福岡 義之 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20265028) [辞退]
堀内 雅弘 山梨県富士山科学研究所, 環境共生研究部, 研究員 (50310115)
西薗 秀嗣 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (10125338)
本山 清喬 九州産業大学, 健康・スポーツ科学センター, 助教 (80824903)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歩行 / ロコモーション / gait stability / 転倒事故 / バイオメカニクス / 歩容調整能力 / CPG |
研究実績の概要 |
歩行中の下肢関節角度は、あたかも各々が独立して無秩序に変動しているように見える。ところが、股関節-膝関節-足関節の時系列データを三次元的にプロットすると、ほぼ一平面に近似できる。これは各関節が垂直軸方向に統合制御されていることを意味し、ヒト特有の歩容調整ストラテジーと考えることができる。 そこで本年度は、トレッドミル速度を正弦波状に外部制御し、実験的に連続的な過渡応答状態を作り出した。若年鍛錬者16名、若年非鍛錬者17名、および高齢鍛錬者16名を対象に歩容調整能力を比較検討した。トレッドミル速度変化の周期は30秒-180秒とし、全ての条件で振幅を±2kmとした。その結果、三次元近似平面は必ずしも完全平面ではなく、お椀状の近似曲面になることが判明した。このため、その「お椀形状の厚さ」を三次元回転行列変換で数値化した。「お椀形状の厚さ」は若年非鍛錬者 > 若年非鍛錬者 > 高齢鍛錬者の順に大きかった。また、「お椀形状の厚さ」は速度変化周期による違いは見られなかった。これまでの多くの先行研究によって、高齢者の歩容調整能力は高速歩行で擾乱が発生しやすいことが知られているが、今年度の結果は、1)必ずしも加齢が歩容調整能力を低下させるわけではないこと、2)運動習慣が歩容調整能力に貢献することを意味しており、若年者でも運動不足によって、歩容調整能力の低下が潜在的に進行する可能性を示している。また、高齢鍛錬者の歩容調整能力が若年鍛錬者より高いことについては、測定した歩行速度帯の影響が大きいと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染拡大による学外者の学内入構制限のため、特に高齢者が対象となる測定では実験予定を変更したり一時中断するなど不測の事態が度々生じているが、令和2年度に予定した実験は完了した。
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今後の研究の推進方策 |
特に令和3年度に入ってから福岡市でもコロナ陽性率が高まっており、4月26日から授業以外の学生や外部者の研究施設へのアクセスが禁止されている。これらの状況を考慮して、学外高齢者を対象とした実験はワクチン接種が始まるであろう初夏以降に行い、先に若年者の測定を開始する。これらと並行して令和2年度に一時的にコロナ感染拡大が抑制された夏前に測定した、異なる実験条件のデータ解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験自体は順調であったが、参加予定であった学会大会の全てがオンライン開催となったため旅費に余剰金が生じた。令和3年度もコロナ感染再拡大が十分予想されるため、学会発表をせずに論文投稿する予定である。多くの学術ジャーナルでは論文査読に時間が掛かっているようなので、オープンアクセス系のジャーナルに投稿し、その掲載料に充てる予定である。
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