アルペンスキーにおいて前十字靭帯(ACL)損傷は深刻な予後を招くことから、ACL損傷リスクの低い滑走技術について明らかにすることを目的として本研究を実施した。スキー滑走データを取得し、それらとシミュレーションを組み合わせて解析を行った。シミュレーションでは、ACL受傷の主要状況であるスリップ後に再度雪面をキャッチする(スリップキャッチ機構)の場面を設定した。解析の結果、滑走技術の違いによる影響は小さいことが明らかとなった。また、スキー動作の基本特性である、スキーテールの梃子作用およびスキーの雪面保持力が重要な因子であることが示唆された。当研究よりACL損傷防止の困難さが改めて浮き彫りとなった。
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