研究課題/領域番号 |
19K11556
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
村山 光義 慶應義塾大学, 体育研究所(日吉), 教授 (20245632)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 筋硬度 / 交感神経活動 / 副交感神経活動 / 足関節底屈運動 / Heart Rate Variability / Shear wave elastography |
研究実績の概要 |
自律神経活動が筋硬度に及ぼす影響を検討するため、筋収縮イメージの繰り返しによる交感神経亢進誘発時の筋硬度変動について検討を行った。被験者は9名(男性6名・女性3名)で、指尖脈波センサーによる神経活動をAPGハートレータ(東京医研SA-3000P)にて記録した。伏臥位で足部を力検出可能なフットプレートに固定し、等尺性収縮による足関節底屈運動を検出可能にした。運動課題は最大筋力の50%レベルを目標にし、素早い力発揮(2秒に1回、20回5セット)をメトロノームのリズムに合わせて反復するものとした。安静をとった後、運動課題を実際の力発揮は行わず力発揮をイメージする試行を行い、次に実際に力発揮を実施する運動を行った。安静時および二つの試行間、さらに運動実施後に神経記録および剪断波エラストグラフィにより筋硬度を計測した。交感神経と副交感神経の比率を示す比(LF/HF)は値が大きいほど交感神経が有意とされるが、値の基準値を定めることが難しいため、安静時のLF/HF値を基準にイメージ試行及び運動実施後の変化率を計算した。イメージ施行10分後にLF/HFの変化率は平均で2.0倍、運動後が1.5倍となった。しかしながら、個人差が大きく、イメージ施行後にLF/HFが減少する例が5例、運動後に2例あった。一方、筋硬度はイメージ施行後平均で1.0倍、運動後1.1倍とほとんど変化が見られなかった。この原因として、交感神経の亢進を伴う筋緊張状態を十分に誘発できていなかった被験者が多かったためと考えられた。本実験期間はCOVID-19の感染拡大で実験協力者を募ることが難しい状況となり、被験者数が少なかった。また、腓腹筋の筋硬度評価のために伏臥位を選択したが、計測時の姿勢も筋緊張の誘発に影響した可能性がある。さらに実験方法の修正を加え、被験者数を増やして検討を続ける必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19拡大に伴う緊急事態宣言、および蔓延防止等重点措置により、大学での活動自粛、学生の来学の制限等により、実験の協力被験者の募集および実験の実施が限られてしまった。そのため、研究計画の1/3程度しか進めることができなかった。また、被験者数を当初の予定より減らして実験を実施することとしたが、実験結果に十分な成果が得られず、再検討が必要な状況となっている。 さらに、大学におけるオンライン授業への対応(教材作成・課題のフィードバック)に多大な時間を要し、本研究へのエフォートが著しく下がってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19拡大に伴う研究活動の制限を受け、研究費補助事業の期間延長を申請した。これが認められたため、実験計画の修正を行い、研究を遂行する。具体的には、今年度実施した実験1「筋収縮イメージの繰り返しによる交感神経亢進誘発時の筋硬度変動」を再検討することに研究内容を絞り、筋緊張状態の誘発条件の修正、被験者を20名程度まで確保して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19拡大に伴う緊急事態宣言、および蔓延防止等重点措置により、大学での活動自粛、学生の来学の制限等により、実験の協力被験者の募集および実験の実施が限られてしまった。そのため、研究計画の1/3程度しか進めることができなかった。 次年度は実験内容を実験1「筋収縮イメージの繰り返しによる交感神経亢進誘発時の筋硬度変動」に絞り、実験方法の修正と再検討を加えるため、実験装置の再構築(被験者の姿勢保持のための筐体作成・力発揮装置の改良)のための物品費や被験者への謝礼等に使用する計画である。
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