研究課題/領域番号 |
19K11558
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
張 月琳 上智大学, 理工学部, 准教授 (20635685)
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研究分担者 |
小山 貴之 日本大学, 文理学部, 教授 (80579110)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 頭部有限要素モデル / 動作解析 |
研究実績の概要 |
スポーツ脳振盪をいち早く客観的に評価するために,シミュレーションを用いて衝突時における頭蓋内の力学パラメータによる脳振盪の発症リスクを推定する手法を提案した.本研究では,この既存の手法を基に,神経線維を考慮した頭部有限要素モデルの開発および症例数を増やすことによって発症リスクの推定精度を高め,さらに3次元画像解析を用いた衝突時の動作解析の自動化によって手法の汎用性の向上を目的とする. この目的を達成するために,1)神経線維を考慮した頭部有限要素モデルの構築および妥当性の検証,2)事故ビデオに基づく動作解析の自動化,3)脳震盪発症リスク曲線の高精度化,4)損傷部位の推定と症状の関係の検討,の4点を示す必要がある. 今年度は,研究計画に従って上記の項目1)において,構築した頭部有限要素モデルの妥当性をいくつかの過去に行われた屍体実験との比較することによって力学パラメータの算出精度を検証した.項目3)において,2)で構築したシステムを用いてアメリカンフットボールにおける脳震盪発症した症例ビデオを基に,発症時の衝突動作を再現可能であることを示した.来年度はより多くの脳震盪の症例を収集・解析し,脳震盪発症リスク曲線の高精度化および損傷部の推定を検討する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画に従って,本年度は昨年度に構築した頭部有限要素モデルの妥当性の検証を行ったが,新型コロナウイルスの感染拡大防止のために,症例ビデオの入手および解析がほとんどできなかったため,計画より遅れることになった.
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今後の研究の推進方策 |
来年度は,構築した画像解析システムを用いてより多くの衝突ビデオを解析することによって,より精度の高い脳震盪発症リスク曲線を構築する.最終的に,衝撃による頭蓋内における評価指標の分布を算出し,推定した脳震盪を発症する部位を可視化すると同時に既知の症状と推定した損傷部位による症状と比較し,本システムの推定精度を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に参加する予定の学会等が開催中止となったため,申請時に計上した学会の参加登録費や旅費が繰り越しとなった.また,研究の進捗が遅れたことによって,データの保存とのための記録デバイスの導入を見送った. 来年度は繰り越した予算と合わせて,システムの妥当性の検証や脳震盪発症部位を推定・可視化のために使用する予定である.また,論文の執筆を含め,学会にも積極的に参加し,研究成果を発信するためにも使用する予定である.
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