研究課題/領域番号 |
19K11563
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
瀧 剛志 中京大学, 工学部, 教授 (40319223)
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研究分担者 |
高井 洋平 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (20574205)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 加速度モデル / ポジション間の比較 |
研究実績の概要 |
今年度は主に加速度能力のモデル化手法に関する検討を進めた。本研究では、試合中の膨大なトラッキングデータから平面上を移動するアスリートの加速能力を詳細に記述し、それを定量化・モデル化すること、そして、その結果から「競技種目」、「競技レベル」、「ポジション(役割)」、「試合の局面」などの違いと加速能力の関係を明らかにすることを目的としてきたが、これまでの研究においてサッカー選手の試合中の加速度を移動スピードごとに進行方向成分(加速と減速)と左右方向に分解し、全方位に対する最大加速度強度を近似円を用いて表現する手法を提案してきた。さらに、各移動スピードにおける近似円の関係について調査し、その中心座標は3次元空間中の直線として、近似円の半径の大きさは2次関数で表現可能であることを発見した。これらに基づき、選手の移動スピードごとの全方位に対する最大加速能力を9つのパラメータで表現する方法を提案し「選手の加速能力の可視化とモデル化手法の提案」というタイトルで発表した。この9つのパラメータで表現されたものを加速度モデルとよぶ。この加速度モデルによって描かれた外形は、その選手の実際の加速度データの外形をよく表現できていることを目視において確認した。この一致度の定量評価については現在取り組んでいるところである。また、ポジションの違いにおいて攻撃(FW)選手と守備(DF)選手とでは、その外形に特徴的な差が見られた。今後はこの外形の特徴を分類する方法の検討と、多試料による検証実験を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多競技・他選手の加速度データの収集という意味では、これまでのコロナ禍の影響もあり当初の計画通りには進められていない部分もあるが、データ分析手法の開発において主軸となる部分が概ね完成し、提案手法の妥当性を示すための評価実験および多試料による有効性の検証段階に至った。
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今後の研究の推進方策 |
加速能力のモデル化手法の開発については一定の目途がつき、今後はその中で用いる幾つかのパラメータの調整や検証を進め、近似精度の向上に取り組む。また、プロサッカー選手数名を対象とした加速度のモデル化結果より、攻撃選手と守備選手の間には特徴的な違いが見られたことから、実験試料を追加し、より詳細な特徴分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ここ数年のコロナ禍の影響により、主に国際会議への参加やデータ収集のための旅費については計画どおりに執行する機会が制限されてきた。これらの制限も概ね解除されたことから、国際会議への参加を含め積極的に研究成果の発信を進める予定である。
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