この研究では、自転車ペダリング動作を評価するために、ペダリング動作に起因するクランク回転やペダルの踏力ベクトルなどを正確に計測することで、そのペダリング動作の特徴をふまえた数値的指標を確立することと、この新しいペダリング技術の指標を用いてより良いペダリング技術の習得法について検討することを目的としている。そのため、これまでの研究において、自転車クランクとペダルの回転状態の変動成分を解析して自転車ペダリング動作を定量的に評価するとともに、クランクを回転させるための踏力ベクトルの特徴を指標化して、自転車ペダリング動作スキルの特徴について解析した。 これまでの研究で計測できたデータを用いて (1)被験者の自転車ペダリング動作を動画計測(モーションキャプチャ)した結果から自転車ペダリング時の下肢関節の協調動作とペダル角度変化の関係について明らかにすることでペダリング動作の指標となり得ることを示し、(2)ペダリング負荷変化に対するペダリング効率の変化を解析することでペダリング動作の指標についても新たに解析を行った。これらの解析結果から、ペダルに加えられたクランク回転の総力と自転車を推進させる踏力との関係が明らかとなり、従来用いられていたペダリング効率よりも、より自転車ペダリング動作スキルを反映した指標を定義することができた。また、この指標により自転車ペダリング動作スキルをカテゴリーに分類可能であり、より良いペダリング技術を習得するためのペダリング動作トレーニングにつながる可能性がある事が明らかとなった。 これらの最新の研究結果は、2023年10月にカルガリー(カナダ)で開催された学会(Canadian Society for Exercise Physiology Conference 2023)にて発表した。また研究結果をまとめた論文を投稿済みで、現在査読中である。
|