研究課題/領域番号 |
19K11566
|
研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
梅崎 高行 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (00350439)
|
研究分担者 |
酒井 厚 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (70345693)
眞榮城 和美 白百合女子大学, 人間総合学部, 准教授 (70365823)
前川 浩子 金沢学院大学, 文学部, 教授 (10434474)
則定 百合子 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (10543837)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 向社会性 / 養育者の動機づけ雰囲気 / スポーツの継続 / 潜在成長曲線モデル / 青年移行期 |
研究実績の概要 |
2021年度は,投稿論文の再投稿(4月),最終3波調査の実施(6月),新規論文の投稿(8月),協力家庭に対するフィードバック(2022年1月),関連論文の投稿(2月),そして3時点データの解析(3月)を行った。ここでは3時点データの解析について報告する。 結果について概要を述べれば,養育者が評価する選手の向社会性得点は,青年移行期に低下した(F(2, 384)=3.49, p < .05)。変化について1次の成長曲線を仮定し,潜在成長曲線モデルによって切片と傾きを推定した。分析には,Amos ver.27を使用した。推定された切片の平均値は6.55(p < .001),傾きの平均値は-.30(p < .01)であった。また,切片と傾きの相関係数は-.60(p < .05)と有意であった。この結果は,小学5年生時点の向社会性とその後の減少には,負の関連が見られることを示している。次いで,向社会性の傾きに対して,選手が認知する小学5年生時点の競技に対するコンピテンスと,3エージェント(養育者,指導者,仲間)の動機づけ雰囲気の影響を検討した。有意な正の関連を示したものは,親による動機づけの「楽しみながら学ぶこと」を重んじる雰囲気であり,影響力(非標準化係数)は.53(p < .05)であった。すなわち,養育者による楽しみながら学ぶことを重んじる雰囲気を,平均よりも1高く認知している選手は,向社会性得点が.53高かった。向社会性得点の値自体は,推移も含めてわが国の同年代の青年の得点と近似しており,社会性得点の低下は,青年期に見られる一般的傾向と言える。養育者による熟達・課題志向的な動機づけ雰囲気は,スポーツの継続を支え,青年期に見られる社会性の低下を抑制する影響をもつと示唆される結果であり,先行研究が示した養育者の動機づけ雰囲気(熟達・課題志向雰囲気)の重要性を追従したと考えられる。
|