本研究の目的は、勤労者を対象に、活動量計によって客観的に評価された座位行動とメンタルヘルスの関係を明らかにすることである。本研究は2年間の追跡を行うコホート研究として予定されていたが、研究期間を延長したことで、3年間の追跡が可能となった。2019年度にベースライン調査を開始し、2022年度は追跡調査を実施するとともに、ベースライン調査も追加した。対象者は、都内の健診センターの受診者で企業に勤務する者のうち、本研究への参加に同意が得られた者であった。調査項目は、①座位行動(10日間以上の活動量計の装着)、②メンタルヘルス(主観的幸福感、K6)、③生活習慣(飲酒、喫煙、睡眠、食習慣等)、④基本属性(年齢、性別、学歴、経済状況、職種、残業時間等)、⑤身体計測(体重、身長等)であった。なお、②~④は自記式調査票で評価し、K6は5点以上をメンタルヘルス不良と定義した。⑤は健診データから取得した。2022年までに、5000名超の活動量計データの収集を完了した。これにより、本研究は我が国では最大規模の活動量計コホートとなった。横断的な解析では、平日の座位時間の長さとメンタルヘルス不調やワークエンゲージメント不良が関連することが明らかとなっている。今後は、健診センターおよび健康保険組合と連携することで、追跡データを取得する予定である。なお、2020年度以降の身体活動や座位行動のデータは新型コロナウイルス感染症による外出自粛やテレワークの影響を受けていると考えられる。これらの影響について縦断的な解析を実施し、国際学会で発表した。
|