研究課題/領域番号 |
19K11571
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
木越 清信 筑波大学, 体育系, 助教 (20378235)
|
研究分担者 |
林 陵平 岐阜大学, 教育学部, 助教 (20805486)
渡辺 輝也 愛知学院大学, 心身科学部, 准教授 (60586783)
津田 龍佑 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (80466648)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 小学生 / 短距離走 / ステップ長 / ステップ頻度 |
研究実績の概要 |
小学生を対象として,短距離走の指導モデルの構築を目指すなかで,「どの時期に,何を指導するか?」を検証する方法として,これまでは,ある対象者群(同年齢,同学年,同性)において,疾走速度とそれに影響を及ぼす下位要因との相関関係を検討することを用いてきた.これに加えて,全ての対象者に同一の練習を実施し,その効果の高い学年を検出することも意義があるものと考えられる.そこで,令和2年度では,小学校2年生,4年生,6年生を対象として,研究代表者らが開発した補助具を用いた練習を行わせ,その効果を学年ごとに検討することで,練習効果の高い学年を検出し,短距離走の指導モデルに搭載する知見を得ることを目的とした. その結果,疾走速度は,2年生においてのみ,練習前と比較して練習後において有意に高い値を示した.また,ステップ頻度はすべての学年において,練習前後の有意差は認められなかったが,ステップ長は2年生においてのみ,練習前と比較して練習後において有意に高い値を示した.ただ,疾走動作(接地時大腿部角度,回復脚膝関節最小角度,腿上げ角度)は,すべての学年において,練習前後の有意差は認められなかった.今後,動作に関する分析項目として,動作速度や加速度についても検討を進める. これらのことから,積極的な回復を目指す補助具を用いた練習は,2年生を対象に実施することが効果的であることが示唆された.これらの知見も含めて,短距離走の指導モデルに搭載する.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延防止に伴い,小学校に出向いてデータを収集することが困難であった.そのため,令和2年度の研究成果は,令和元年度において実施した測定と同時に実施したデータを用いたため,予定通りに研究成果を発表することができた.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究のオリジナリティは相対成長を考慮した短距離走指導モデルの構築である.そして,相対成長をPHV(Peak height velocity)相対年齢で判断することとした.PHV相対年齢は,先行研究で示された式を用いて,身長,体重,座高値から推測したが,研究成果を学術論文に投稿した際に,先行研究で示されている式は,日本人を対象として作成されたものではないため,日本人のPHV相対年齢を推定する式としては,適切ではないとの指摘があった.そのため,今年度は筑波大学付属高等学校の協力を得て,身体計測の縦断データから,日本人のPHV相対年齢を推定する式の作成を試みる.そして,この式を基に対象者のPHV相対年齢を推定しなおす.この作業が終われば,相対成長を考慮した短距離走指導モデルの構築するための知見は出そろう.令和3年度は,これらの知見を基に,具体的な指導モデルの構築を目指し,それをリーフレットにまとめ,研究責任者の所属する陸上競技コーチング論研究室のホームページ等に掲載する.また,茨城県教育庁の協力を得て,茨城県の小学校に配布し,このモデルを基にした指導案の作成を試みる.
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は,新型コロナウイルス蔓延防止に伴い,小学校に出向いてデータを収集することが困難であった.しかし,令和元年度のデータ収集時に,予備実験として令和2年度の研究に関する測定も実施していたことから,本年度の研究成果は,その予備実験のデータを使用している.予備実験ではあるものの,計画通りのプロトコルで測定を実施したことから,データの精度には全く問題がない.これにより,令和2年度では,データ収集に関する旅費が発生しなかったことから,予算を令和3年度に繰り越した.令和3年度では,研究成果を公表するためのリーフレットの作成および配布に予算を執行する.
|