研究課題/領域番号 |
19K11574
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
上原 三十三 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50293733)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 運動観察力育成 / 器械運動 / 動感 / 映像教材 |
研究実績の概要 |
本研究は、器械運動における動きの観察トレーニングの映像教材開発が目的である。令和元度については体育授業の器械運動における動きの事例の映像収集と、映像教材の観察視点を明確化する作業として現職教員や教員養成大学の学生がどのような視点で動きを見ているのかを調査した。この調査から、目標技の一般運動像や指導方法、指導の成果評価への関心は高いが、動きの課題を見抜くための観察意識は強くなく、技を成功できる動きかたの諸動作の関係性を構造的に捉える視点が不足していることが見えてきた。 この結果を踏まえて、令和3年度については習熟段階において動きかたの問題点がみられる映像を多数収集して類型化し、観察トレーニングの映像教材を試作することを計画した。コロナ禍によって器械運動の授業を撮影することができず当初見込んでいた映像資料はほとんど収集することができなくなった。このため、試作の映像教材は限定的な内容となったが、これまでに収集された資料を用いて被験者に観察実習を行い、運動観察力の向上に関する意見と観察内容の変化を調査した。この調査から次の傾向が浮かび上がってきた。①漠然とした技術観察であった状態から例えば前転においては「足の投げ出しとブレーキ、腰角度の保ち方」へと視点を移せることが期待された。②また、技術の動感を言語化する努力によって動感が意識化されることが期待された。③しかし、実技活動を伴った動感自己観察の作業ができない場合には、運動方向感覚や動作を仕掛けるタイミングや運動リズムを読み取ることは難しいという問題が明らかになった。 令和3年度については不足している映像資料の収集を進めるとともに、動感理解を促す観察トレーニング映像教材を作成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度は、公立の小中学校に協力依頼してマット運動、跳び箱運動、鉄棒運動の3種目について学習指導要領における「例示の運動」と練習活動における動きの映像を収集し、各習熟段階に見られる動きの特徴を明らかにする予定であった。しかし、コロナ禍により学校訪問が大きく制約されただけでなく体育授業が大幅に変更されて映像資料の収集がほとんどできなかったため、それらから作成する予定であった映像コンテンツは一部しか作成することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度も引き続き小中学校に協力依頼してマット運動、跳び箱運動、鉄棒運動の映像資料とコツ感覚に関する聞き取り調査を行う。また、コロナ禍に対応するために愛知県内の指導者研修会と研究協力者教師に加え、学生にも映像教材を用いた観察力トレーニングを実施し、映像教材の効果を評価する。評価については「危険な動き」、「技の習熟度」、「学習課題」の判定結果と観察記述報告から分析する。さらに、いくつかの教員研修会での評価を重ねて改善課題を検討し、映像教材のブラッシュアップを図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によりデータ入力、動画編集、研究協力者人件費・謝金が使用されなかったため。 令和2年度に収集できなかった映像資料を令和3年度において補完する作業を行うので、令和2年度の未使用額を令和3年度の映像資料の収集、データ入力、動画編集、研究協力者人件費・謝金、その他に加えて使用する予定である。また令和3年度においては、愛知県内の教員研修会等及び研究協力者に観察トレーニングを実施するための資料用消耗品を物品費、観察報告記録を分析する際の資料整理に人件費・謝金をあてる。また、映像コンテンツをまとめあげてデジタル教材化する作業に使用予定である。
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