研究課題/領域番号 |
19K11575
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
鉄口 宗弘 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70397793)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 児童 / 生徒 / 身体活動量 / 睡眠効率 |
研究実績の概要 |
本研究は、ActiGraphを用いて児童および生徒の睡眠の質(睡眠効率)と身体活動量および体力との関係について検討することを目的とするものである。ActiGraphは、身体活動量のみならず睡眠時間等を具体的数値として測定できる装置であるが、日本における小児の研究での使用は多くなく、身体活動量に関しての検証が必要である。よって、①日本の児童・生徒におけるActiGraphの精度の検証、②児童・生徒の睡眠と身体活動量との関係について検討することを試みる。 本研究の実施期間は2019年からの3ヶ年であったが、2019年度においては、附属小学校校長の併任によりエフォートが大幅に変更したこと、また新型コロナウイルス感染症の影響により対象の実験参加が困難であったことにより、予定した実験を遂行できず、ActiGraphの精度の検証実験に先立ち、プロトコルの検証を実施するにとどまった。 その後も新型コロナウイルス感染症の影響により実験遂行を断念する決断を下す他、ActiGraphの精度の検証実験における呼気ガス分析の際のマスク装着が、感染症が治まった後も困難であることが予想され、そのため本研究では児童・生徒の睡眠と身体活動量との関係についての研究を実施することを優先するべきであると判断した。また、小学校児童の新型コロナウイルス感染症の罹患数が増加する中、児童・生徒の睡眠と身体活動量との関係についての研究を遂行するため、2022年度3学期中に附属小学校副校長に依頼し次年度の研究協力を取り付ける他、大阪市教育委員会へ研究に協力くださる中学校の紹介を依頼した。 2023年度においては新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に引き下げられたことにより、小学校では1学期中に、中学校では2学期中に、児童・生徒の睡眠と身体活動量との関係についての検討実験を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題の研究代表者は、研究課題採択後の2019年より大阪教育大学附属天王寺小学校の校長を併任することになり、エフォートを大幅に変更せざるを得ない状態となったものの、大学での業務軽減により、本研究課題の遂行に着手する予定であった。 2019年度は、本研究課題を遂行するにあたり、児童に安全に運動負荷試験が実施出来る様にプロトコルの検討を行った。その結果を基にActiGraphの精度の検証を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、実験の実施が困難な状態となった。 2020年度および2021年度においても、新型コロナウイルス感染症の影響力が減少するどころか、2021年度では小児において多数罹患する状況であったため、実験協力依頼校と相談の上、実験遂行を断念せざるを得なかった。そのため、2022年度での研究の延長を申請した。なおその際、児童・生徒におけるActiGraphの精度の検証で使用する呼気ガス分析でのマスク装着は、感染症収束後においても保護者の理解を得ることが困難であるとの指摘を受け、学校現場ではなく日ごろから身体活動を行っている児童・生徒に依頼し実施することを検討している。 2022年度においては、附属小学校の副校長および大阪市立中学校校長に研究依頼し、新型コロナウイルス感染症の影響が学校現場で低レベル化する状況を見定め実験を実施する予定であった。感染症が減少した上で学校行事に差し支えないタイミングで実験する予定を立てたものの、海外の紛争の影響によりActiGraphの取得の遅延の可能性が出たため、タイミングを逸してしまい、実験を断念する決断を下した。 以上より、2022年度までに予定していた実験の完了および論文作成ができず、本研究課題の進捗状況として「遅れている」という状況になった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度までの3ヶ年においては新型コロナウイルス感染症の影響等によって実験の遂行が困難であったため、当初予定していた実験については期間を延長し、2023年度に実施する予定である。 ただし大阪教育大学の井上功一准教授の協力のもと、小学校児童および中学校生徒を対象としたActiGraphの精度の検証を行う予定であったが、マスクを着用する呼気ガス分析の実験が困難であり、ActiGraphの精度の検証に関しては次年度以降に見送り、感染症の収束を見定めて実施する予定である。 ActiGraphを用いた睡眠の質と日常の身体活動量の関係についての実験については、小学校は附属小学校の校長、副校長および体育教員との打合せを実施し、実験の許可を得、1学期中に実施することが決定している。中学校に関しては大阪市教育委員会の体育指導主事に依頼し研究協力校を推薦頂き、学校長へ直接研究協力を依頼する予定である。なお、附属学校副校長、大阪市立中学校校長および体育教員との打合せを行った後は、学年集会時に保護者への説明を行った上で、協力の同意を得た児童および生徒に対し実施する。 研究の対象は小学校高学年児童および中学校生徒であり、測定はActiGraphを右腰部(日常時)および非利き手首(睡眠時)にベルトで装着させ、10日間連続して測定する。また文部科学省新体力テスト実施要項に基づく体力測定8項目の実施により、睡眠・身体活動と体力との関係について検討する。実験で得られたデータをもとに、次年度には学会発表および論文作成を行い、結果を広く公表する予定である。 なお、本研究は3ヶ年出の実施計画を立案したもの2年の延長を重ねたが、2023年度は新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に引き下げられたことにより、本年をもって研究終了年度とする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度においては小学校児童を対象としたActiGraphの精度の検証を行う予定で、消耗品であるActiGraphを購入し準備を行ったものの、予定していた3月の春休み期間中での実験実施が新型コロナウイルス感染症の影響により困難となり、通常授業再開後に実施することとなった。その際、消耗品等、何らかの支出が発生した場合に備え予算残金を維持していたが、2019年度には実験ができず、2020年度に繰り越すこととなった。2020年度および2021年度においては、前年度に実施できなかった実験を実施する予定であったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、すべての実験遂行が困難となり、助成金全額を使用することが困難となった。 本研究を2022年度まで延長したことにより、2022年度使用額となった繰越金については、児童・生徒の睡眠と身体活動量との関係について検討するためにほぼ全額ActiGraphおよびその他の消耗品等の購入に充てた。その結果残った差額については2023年度の消耗品等の購入に充てる予定である。
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