研究課題/領域番号 |
19K11581
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
濱田 初幸 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 教授 (50347118)
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研究分担者 |
前田 明 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (40264543)
亀田 麻依 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 契約研究員 (40806436)
鈴木 智晴 鹿屋体育大学, その他, 特任助教 (20848337)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 柔道事故防止 / 実践的後ろ受身 |
研究実績の概要 |
柔道無級者の中学1年生男子5名を対象に「片手打ち後ろ受身」と「両手打ち後ろ受身」の2試技を3回ずつランダムに実施した。さらに高段者1名が、上記実験参加者に「大外刈」を掛け、その際の受身動作3試行分析した。本実験は鹿屋体育大学スポーツパフォーマンス研究センターで実施し、受身動作は光学式モーションキャプチャーシステム(Mac3D)により記録した。【結果】受身を行っている間の頭部の重心の最高速度は、「片手打ち後ろ受身」と「両手打ち後ろ受身」のどちらも約 3 m/sec で差がなかったが、その速度曲線は、「両手打ち後ろ受身」がなだらかで、「片手打ち後ろ受身」が後半に急激に減速していた。受身をした際の後頭部の高さは、「両手打ち後ろ受身」においては約 8cm まで低下し、「片手打ち後ろ受身」では約 11cm であった。これらの結果は「片手打ち後ろ受身」の方が後頭部を打つ恐怖感がなく思い切り受身ができることが要因ではないかと考えられた。また、「片手打ち後ろ受身」では、身体全体を左方向にひねり、さらに頚部を左方向に回旋させており、大外刈の際の受身に類似した動きを行っていた。 以上のことから、「片手打ち後ろ受身」は、「両手打ち後ろ受身」よりも実践での受身に類似した動作であり、頭部の安全性を確保する受身として適切ではないかと考えられる。 柔道事故防止の観点から、今後、検討に値する指導法であると捉えている。 本研究は日本武道学会第52回大会(令和元年9月:國學院大學)で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の予定は概ね順調に遂行することができた。 関係機関の十分積極的な協力を得ることができ、進行状況はスムーズであった。 「片手打ち後ろ受身」の指導法を、地域クラブや近隣中学校の指導者の方々がそれぞれの現場での指導法の一環として活用していただくようになり、ささやかながら地域貢献につながりつつある。 この指導法を広く発信していく必要があると考える。 今後は発信方法をも課題として捉え、その方法を検討していきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は柔道初心者の中学生女子及び小学生男女を対象とした実験を予定しているが、新型コロナの影響で進捗を妨げられている状況にある。終息後の実験が支障無きように計画を見直しているところである。 終息後は直ちに活動を再開したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた実験打ち合わせ、資料収集のための出張が、新型コロナ感染防止のため急遽中止となったため、予算が使用できなかった。 次年度使用額は、今年度実行できなかった打ち合わせ、資料収集のための出張費に執行する予定である。
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