| 研究課題/領域番号 |
19K11585
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| 研究機関 | 日本大学 |
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研究代表者 |
小松 泰喜 日本大学, スポーツ科学部, 教授 (80436451)
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| 研究分担者 |
岸 哲史 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 助教 (70748946)
東郷 史治 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (90455486)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 時差調整能 / 睡眠覚醒リズム / 睡眠習慣 / 短時間睡眠 / 加速度計 |
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| 研究実績の概要 |
学生アスリートの睡眠時間、睡眠時間帯を含む睡眠習慣の実態を把握し、時差のある地域への高速移動により、「時計（体内時計）」が刻む約24 時間のリズム（概日リズム）の変調がどのように普段のコンディショニングや競技スポーツへ影響を及ぼしているかを調査することを目的とした。具体的な研究課題として①睡眠時間、睡眠時間を含む睡眠習慣とアスリートの生活習慣や心身の自覚症状との関連について、②学生アスリートの日々の睡眠時間、睡眠時間帯、概日リズム等の心身の自覚症状による、詳細な実態やダイナミクスについて、③時差の影響による太陽光の日周（明暗）リズムと脳と心の健康保持増進に最適な睡眠時間帯を明らかにすることである。
このうち、令和元（2019）年度は、海外への移動や高地トレーニングを目的とする場合の時差調整能について、学生アスリートが普段の学生生活と大きく乖離した海外への高速移動や高地トレーニングを経験することが、競技力にどのように影響があるかを探索し、その実態やダイナミクスを知ることに着眼した。また、海外遠征時における身体的負担を調査した。
覚醒-睡眠パターンの計測には腕時計型加速度計を非利き腕の手首に装着し、3軸方向の加速度波形を記録した。合成波形がゼロレベルを交差する回数を1分ごとに調べ、覚醒－睡眠パターンと概日リズムの変調と関連する活動-休息パターンについて探索的に研究を実施した。
対象は令和元（2019）年7月3日から14日までの12日間イタリア・ナポリで行われた第30回ユニバーシアード競技大会に出場した3名である。内訳は陸上競技部2名、フェンシング部1名、すべて男性である。いずれも現地時間までの調整に単睡眠時間があり、今後パラメーターとして有効かどうかの検証をする必要があるが、デバイスとして採用した三軸加速度計と専用ソフトの信頼性については問題ないことが確認できた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元（2019）年度のベースライン調査は、実態調査対象者選定、日常生活実態調査、追跡調査から構成されており、実態調査対象者選定とその追跡調査を行っている。使用する加速度計の選定や結果として可視化されるパラメータやその解析についてある一定の成果を得た。また、新たな解析項目として海外遠征等、移動地で最初に発生する短時間睡眠時間は解析項目として採用し、今年度以降も検討することとした。
一方で本学の学生でアスリートコースに所属し、競技スポーツを広く学修している学生らが所属する競技スポーツ部との連携が十分でなかったこともあり、想定していた30名を対象のスケジュールが合わず、調査の実施が部分的であった。
したがって、特定の競技スポーツ部を対象に、研究プロトコルは変更せず、ベースライン調査として学生アスリートの日常生活実態調査のほか、睡眠時間、睡眠時間帯を含む睡眠習慣と生活習慣や心身の自覚症状について調査を実施することとする。睡眠習慣についてはピッツバーグ睡眠質問票日本語版（PSQI Pittsburg Sleep Quality Index)、気分や感情の状態については6つの尺度から測定するPOMS (Profile of Mood States)またはアスリート向けのBRUMS(Brums Mood Scale)を採用し、うつ病不安ストレス尺度についてDASS (Depression Anxiety Stress Scale)を使用する調査を開始することにしている。
競技スポーツ部ごとに年間の試合、遠征、合宿等が異なるが、想定される学生アスリートが所属する競技スポーツ部の指導者との連携は現在のところうまく取れており、問題なく行うことが可能である。
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| 今後の研究の推進方策 |
前年度から課題とされていた日常生活実態調査、追跡調査の実施が整っており、日常生活実態調査のモニタリングを継続実施するとともに、質問紙調査によるピッツバーグ睡眠質問票日本語版（PSQI Pittsburg Sleep Quality Index）の睡眠習慣、腕時計型加速度計により覚醒-睡眠パターンと概日リズムの変調から、関連する活動-休息パターンが乱れを探索的に抽出する。中でも今年度は睡眠構造の質について、小型（簡易）脳波計を用いて、睡眠脳波の分析と睡眠の質やリズムを正確・客観的な評価を加えることとしている。
対象は競技スポーツ部、およそ30名にて実施する予定である。内訳として海外に遠征する学生アスリートの他、遠征時のモニタリングを実施する。脳波計解析は小型（簡易）脳波計による対象者の測定に加え、遠征前に睡眠時の脳波の測定を実施し、脳と心の健康の保持増進に最適な睡眠時間帯との乱れや障害についても評価を行う。
一方、データ解析については、睡眠の量、質、時間帯について、日々の変動を検討し、時系列データの解析には、平日と試合や遠征の多い休日での睡眠がその後の眠気、疲労、気分、心臓自律神経調節機能、体温の24時間リズムに及ぼす影響を調べる。質問紙調査のデータについては、平日と休日の睡眠、食事、身体活動の習慣と抑うつレベルや有無の変化などの関連性・因果性について検討する。また、当該年度には脳波計での測定も実施しており、睡眠脳波の周波数解析には脳波の特徴量を算出し、そのデータから睡眠深度を算出する方法を用いる。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
令和2（2020）年度は30名の覚醒―睡眠パターンおよび日常生活時のモニタリングに使用することで、その指標を決定することを研究目的としており、測定機器として10台の加速度計を購入しており、解析専用ソフトを購入し、具体的なデータ解析を行うため、そのためのソフト購入費用を計上することとする（270千円）。これ以外に、国内外の学会への参加費用としてそれぞれ国内旅費（200千円）を計上し、複写費50千円、測定機器の搬送などとして配達料50千円）を計上している。
また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、予定されていた競技スポーツ部の合宿等が軒並み中止となり、アンケートによる睡眠習慣などの調査ができず、そのための旅費等の使用ができないこともあり、次年度使用額が生じたものである。
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