研究課題/領域番号 |
19K11594
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
松浦 亮太 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10551278)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 筋疲労 / 疲労困憊 / 中枢性疲労 / 末梢性疲労 / 恒常性維持 |
研究実績の概要 |
人間が一定の大きさの筋力を持続的に維持した場合,やがてその維持はできなくなる。これを運動生理学では疲労困憊と呼ぶが,本研究の目的は筋力発揮の疲労困憊が生じる原因を明らかにすることである。そのために疲労困憊直後に発揮可能な筋力に着目して研究を進めている。 今年度(2021年度)は,様々な強度による持続的な等尺性筋収縮が疲労困憊直後の最大努力での筋力(最大筋力)発揮に及ぼす影響を検討した。持続的筋収縮は右人差し指による外転(親指側に人差し指を開く動作)とし,持続的筋収縮の強度によって,低強度・中強度・高強度の3条件を設定した。筋力発揮の低下に関わる末梢性の要因と中枢性の要因(それぞれ末梢性疲労と中枢性疲労)は筋への電気刺激を用いて評価した。 低強度および中強度条件での疲労困憊直後における最大筋力に有意な差は見られなかったが,高強度条件と比べて有意に低い筋力であった。また,この際の最大筋力は,低強度条件で持続的筋収縮時の目標筋力を上回ったが,中強度および高強度条件では目標筋力を上回ることはなかった。疲労困憊直後の末梢性疲労に3条件で有意な差は見られず,中枢性疲労は低強度および中強度条件で有意な差は見られず,高強度条件と比べて有意に大きかった。なお,3条件を合わせて疲労困憊直後の最大筋力と中枢性疲労の関係を調べたところ,有意な相関が見られた。 これらの結果から,疲労困憊はそれを引き起こす持続的筋収縮の強度に関わらず,一定の末梢性疲労が起きないように生じており,様々な強度での持続的筋収縮による疲労困憊直後に発揮可能な最大筋力は,末梢性疲労が一定の値に到達するまでに進行した中枢性疲労の影響を受けることが推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に新型コロナウィルス感染症の影響で実験が行えなかったため,1年間の延長を申し出ている。2021年度はその遅れをやや挽回した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の申請期間に対して1年の延長が認められたため,その延長期間を2020年度の遅れを取り戻す機関に充てたい。現時点で研究計画の大きな変更は予定していないが,当初予定していた検討課題の必要性をこれまでの研究結果に照らし合わせて吟味し,別の検討が必要か否かを決めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の申請期間を延長することになり,2022年度に行う実験の物品費,被験者謝金,研究成果の発表などの予算が必要となったため。したがって,助成金は実験の物品費,被験者謝金,研究成果の発表などに使用する。
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