研究課題/領域番号 |
19K11604
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
細越 淳二 国士舘大学, 文学部, 教授 (70365526)
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研究分担者 |
佐々木 浩 国士舘大学, 文学部, 准教授 (20779574)
荻原 朋子 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (50365566)
須甲 理生 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (70614478)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 小学校体育授業担当者 / 学級担任 / 教科担任 / 体育専科教員 |
研究実績の概要 |
研究所年度の2019年度は,小学校体育授業担当者についての実態を捉えることを目的に,調査研究を実施した. 今回の調査では,「現在の体育授業担当の有無とその位置付け(学級担任,教科担任,専科教員)」「体育指導に対する困難度」「体育授業担当者として適任と考える指導者(学級担任教師,教科担任教師,体育専科教員等)」「教科担任または専科教員による体育授業を実施するとした場合に期待されることがらと懸念されることがら」「教科担任または専科教員が体育授業を担当するとした場合の担当学年」「その場合の学級担任の位置づけの有無」等についての設問を設定した. この調査票を,全国約2,700名の小学校教員を対象にして実施し,現在,集計中である.全国の学校で,どの程度,教科担任及び専科教員配置されているのか,学級担任の教員は体育授業担当者を現状のままでいいと考えているのかどうか,教科担任や専科教員を配置する場合,中教審の議論では小学校高学年への導入が検討されているが,現職教員はどの学年への導入が望ましいと感じているのかなど,学校及び教員の現状を明らかにできればと考えている.本調査の結果は,2020年度中に集計・分析を終え,学会にて報告する予定である. この他,学級担任及び教科担任,体育専科教員それぞれが担当する体育授業の特徴とその成果を,授業分析を通して明らかにするための研究チームを組織し,現在,授業実践に向けた準備を進めている段階である.研究2年目の2020年度は,学級担任,教科担任,体育専科教員それぞれの体育授業に期待される教育成果を見取る視点と方法を検討・設定して授業実践を中心にした取り組みを進めていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究所年度の2019年度は,各地の小学校で行われている体育授業を,どのような教員(学級担任,教科担任,体育専科教員)が担当しているのか,また体育授業を教科担任や体育専科教員が担当するとした場合,そこで期待される事項や懸念される事項,教科担任と体育専科教員を位置付ける場合の,より適切な配置について,現職教員の「生の声」を知るための調査研究を実施した.現在,集計を進めており,2020年度中には学会にて研究成果発表をする予定である. また,2020年度以降,学級担任が受け持つ体育授業と教科担任あるいは体育専科教員が受け持つ体育授業それぞれの教育成果を授業実践を通して精緻に把握することから,担当教員によって期待できる教育効果についての知見を集める予定である.現在,それぞれの教員が体育授業を担当した場合の分析視点と分析方法について,共同研究者とともに精査している段階である. 以上を踏まえると,現在までの進捗状況は「概ね順調に進展している」ということができる.
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗を踏まえて,今後,課題となることのひとつに,学級担任,教科担任,体育専科教員がそれぞれ受け持つ体育授業の教育成果を見取る指標をどのように設定するか,ということがある. 従来,体育授業研究の方法論としては,教師の相互作用行動を数量的に観察するとともに,授業終了後に子どもに形成的授業評価票への回答を求め,それらを掛け合わせることから授業の適否を判断することが多かった. しかしこの方法は,どの教員にも当てはまる一般的で標準化された方法であり,一面的にはこれを適用して問題はないけれども,本研究の場合は学級担任や教科担任,体育専科教員による授業で得られる教育成果について,それぞれの特性が浮き彫りになる形での観察・分析が必要になるし,オリジナリティとなる.例えば,教科担任や体育専科教員に対しては,技能や体力の向上が期待される部分が多いと考えられるし,学級担任に対しては,態度的側面も含めた成果が期待されるかもしれない.この点について十分に検討した上で,実践研究とその分析に着手するのが,今後の推進方策となる.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の佐々木は,今年度は研究代表者,大学及び研究室にある関連文献を中心に研究活動を展開した.加えて,これまでの現職教員としてのキャリアを生かして,質問紙作成に携わったために,実質的な支出がなされなかった,併せて次年度は,実際に学校に赴いて実践研究を主に展開することが計画されている.そのためそれに向けた交通費の支出を見通して,次年度使用額を用意した.また研究分担者の須甲は,今年度の研究遂行に必要な物品の調達や旅費の支出を行ったが,次年度はさらに学校に赴いて実践研究を進めるための旅費として,次年度使用額を確保した. 以上が本項目に関する理由と今後の見通しである.
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