研究課題/領域番号 |
19K11605
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
吉永 真理 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (20384018)
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研究分担者 |
野井 真吾 日本体育大学, 体育学部, 教授 (00366436)
大西 宏治 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (10324443)
鹿野 晶子 日本体育大学, 体育学部, 准教授 (10759690)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 放課後 / 児童館 / 居場所 / 子ども理解 / 気分尺度 |
研究実績の概要 |
2019年度に実施した児童館と新BOPの職員調査の結果を精査して、フィードバックのための報告書を作成した。豊かな放課後のあり方を考える上で重要なこれらの施設の居場所性に関する、職員の認識とそれを支えるために必要と思われる資質について検討した。居場所に関わる15項目(α係数=0.724)は数量化Ⅲ類によって、「心地よさ・楽しさ・安心」といった空間に関わる要素と「主体性・意欲・交流」といった社会性や対人関係に関わる要素のふたつが抽出された。児童館の方が空間的特徴も対人関係的特徴も得点が高くなった。居場所における子どもへの対応の仕方に関わる職員の認識を16項目(α係数=0.75)を分類すると、「子どもとその環境への理解と対応」「自己の感情制御と援助要請」の2要因が抽出された。これらの得点に関しても、児童館のほうが高くなった。ところで、職員の心身健康状態をWHO-5で調べた結果うつ傾向があり、より丁寧な個人的な面接が必要な状態にある人(合計得点が13点未満の人)が全体の24%いることがわかった。子どもへの対応の仕方の下位尺度「子どもとその環境への理解と対応」「自己の感情制御と援助要請」の得点とWHO-5得点は関連しており、抑うつ傾向ありの人は、尺度得点がどちらも低くなり、特に、「自己の感情制御と援助要請」得点は有意に低くなった。(こども環境学会2020年大会(長野)誌上開催、及びIPA日本支部オンライン特別研究集会 PLAY!2020 2020/12/14-19にて発表。日本心理学会第85回大会にて発表予定) 豊かな放課後のあり方を考えるワークショップ活動の予備研究として、外遊びの授業を実践した。授業前後で二次元気分尺度を実施したところ、いきいき、ゆったり、るんるん、ぱっちりの4項目で、事後に向上していた。(日本学校保健学会第67回学術大会にて発表予定)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の影響により、一斉休校が実施され、それに伴って、児童館、新BOP(放課後子ども教室と学童)も閉館閉室となった。学校再開とともに、人数制限を伴う、限定的な開館となったが、感染症やその対応策による児童や保護者のストレス状況、並びに職員の多忙な状況を考慮し、2020年度に予定していた親子50組を対象とする実践と測定は延期とした。感染状況が落ち着いた時期に、2021年度に予定しているワークショップを想定して、内容をシミュレーションするための外遊び活動を太子堂小学校にて実施し、二次元気分尺度による測定を実施した。2021年度に実践と測定をサンプル数を減らして実施する、あるいは、唾液サンプル採取以外の生活時間調査と心身健康調査の実施可能性を探る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
分析結果を児童館と新BOP職員にフィードバックし、意見交換の場をもうけ、担当課とともに、申請計画にある生活時間調査と生化学指標(メラトニン代謝)の測定に関する実現可能性を探る。 感染症の状況を見極めながら、成果共有ワークショップの開催時期を検討する。参加者の安全のために、調査計画を変更する可能性も検討する。可能性としては、1年間期間を延長し、2021年度の後半に、生化学指標測定を含めた調査を実施し、その分析結果をもとに、ワークショップを開催することも考える。その場合は、学内の研究倫理委員会にも研究計画の変更を申告し、適切な手続きで進行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の蔓延により、子どもと保護者を対象とした生活時間調査と生化学指標の採取が実施できなかったことにより、次年度使用額が生じた。 ワクチン接種が開始されたので、感染症の状況を見ながら、測定時期を模索するとともに、成果共有ワークショップの実施形態を検討し、順序を変更しても研究目的の実現が可能かどうかを見極める予定である。
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