研究課題/領域番号 |
19K11605
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
吉永 真理 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (20384018)
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研究分担者 |
野井 真吾 日本体育大学, 体育学部, 教授 (00366436)
大西 宏治 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (10324443)
鹿野 晶子 日本体育大学, 体育学部, 准教授 (10759690)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放課後 / 外遊び / 気分尺度 / 学童 / 児童館 |
研究実績の概要 |
児童と保護者に実施予定の質問紙調査の実施目処について、区の担当課、児童館長、新BOP事務局長にヒヤリングを行った。徹底した感染対策実施のために現場では、職員が対応に追われており、感染者が増加する中で、調査を実施することが困難である、との回答を得た。また、2021年度計画の「豊かな放課後の在り方」を考えるワークショップも年度内には実現困難なことがわかった。 そこで、実際にワークショップを実施するとしたら、どのような方法論が可能かを、協力の得られた小学校で検証するプログラムを実施した。具体的には都内の小学校の5年生児童(n=55)を対象に、活動団体(TOKYOPLAY)と協働し、外遊びの授業を実践、活動の前後に二次元気分尺度による気分状態の測定と「今の気持ち」の記入を行った。活動前に授業目的を共有し、授業後に振り返りを行った(日本心理学会にて発表)。参加児童の気分尺度で測定した結果が事前より事後で快適な状態に移行していることが示された。自由記述内容の分析でも肯定的な表現が増していることを確認した。これらは実際にワークショップで活用できることがわかった。 さらに、コロナ禍で大きな影響を受けている世界の子どもの状況に関して議論が行われる、Child in the City Conference 2022にエントリーしており、日本の状況を説明しながら、postコロナ時代の放課後の在り方について意見交換する予定である(What we need to do to create a rich after-school experience for children: clues from the staff survey)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度に引き続き、コロナ禍の影響を大きく受け、現場の協力が必須な調査・活動実施ができなかった。質問紙結果に関するフィードバックを行い、関心の高かった項目について、詳細な分析を実施した。職員向け調査結果をわかりやすくまとめ直し、児童館・新BOP(放課後子ども教室・学童)の関係者に配布するためのリーフレットを作成し、担当課に渡した。これらのアプローチの結果、2022年度に調査を実施することに同意を得られた。さらに、一部の児童館と小学校PTAの協力を得て、放課後に実施するプログラムや空間のあり方に関して、ワークショップ実現の方向性を探っている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度中に、調査と活動・測定を実施し、結果をまとめることに注力する。コロナ禍を受けて、子どもたちの放課後の制約の多さや体験機会の減少は深刻化している。こうした状況を見据えながら、放課後の豊かさを実現するために重要な要素をエビデンスをもとに示し、研究成果として、まとめることを目指す。実施協力先の自治体では、学童保育のあり方や放課後子ども教室のあり方に関して、検討委員会が立ち上がっている。自治体が実施する調査を参照しながら、独自の視点を入れて、当事者である子どもと保護者への調査を実施し、結果を参加者に共有して、その意見を聴取していく予定である。本研究は自治体の担当課や施設、地域の活動団体との協働をもとにしており、研究結果は途中経過もすでに手渡しているが、最終的には「豊かな放課後の在り方」に向けた提案にまでつなげていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症蔓延により研究計画を変更せざるを得なくなったため、研究期間の延長手続きを行なった。次年度には延期した調査や活動を実施し、結果のまとめまでを迅速に行う予定である。
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