研究課題/領域番号 |
19K11606
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
木村 憲 東京電機大学, 工学部, 教授 (60408648)
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研究分担者 |
水村 真由美 (久埜真由美) お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (60292801)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 有酸素運動 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
本研究は複雑性を伴う身体活動の学習が認知機能に及す効果を検討する。そこで週3回3ヶ月間(36回)に及ぶ運動教室を実施し、運動介入が及ぼす認知機能への効果について検討した。運動課題はエアロビックダンスとして運動の複雑性を段階的に高くすることにより認知的負荷が高くなると仮定し、主に実行機能(前頭葉機能)へのトレーニング効果について検討した。運動習慣のない大学生を対象とし公募による参加者を募り30名が適合者として実験に協力した。実験協力者を無作為に3つのグループ(テスト群(エアロビックダンス)、統制群1(有酸素運動)、統制群2(日常生活))に分割し介入効果について比較検討した。運動教室は、新型コロナ感染拡大のリスクが懸念されることから、ネット配信とビデオ教材を併用して自宅などで個別に参加ができるように運用された。ダンスの学習状況は課題ダンスの模倣レベル(一致度)について動作解析を行なった。3ヶ月間の学習効果を3グループ間で比較した結果、ダンスグループにおいてダンスパフォーマンスに明らかに高い学習効果が認められた。さらにダンスグループにおいて運動教室参加前後の認知機能(実行機能)を比較検討した結果、限定的ではあるものの実行機能が改善する傾向が観察された。引き続き厳正な解析を進めるとともに、対象者を増員した同様の運動介入試験を実施し再現性を検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染拡大防止の観点から感染状況に応じた大学施設利用の種々の制限があった。そのため運動教室(運動介入)は運動施設を利用した集団開催を改め、ICT並びに遠隔会議システムを利用した運用に切り替えてた。遠隔による運動介入を完了できたことは新しい試みとして価値ある成果といえる。一方で実験協力者との諸手続き(雇用、謝金等)が紙ベースで本人押印の必要など書類の送付や押印のやりとりに多くの労力と時間を要した。結果として本年度の運動介入は2期予定していたが1期のみとなった。研究期間を延長し引き続き介入実験を実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
感染拡大の状況が見通せないことから、感染リスクを配慮して運動介入方法について前年度の運用を踏襲する。すなわち、ICTシステムと遠隔会議システムを利用した運動介入実験を実施する。新規に実験協力者を募集し結果の再現性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
運動介入(運動教室)の運用を必要とする実験であるため、新型コロナ感染拡大のリスクを配慮した実験計画の遂行が必要とされた。ICTと遠隔会議システムを利用した新しい運動介入のシステム構築と準備に時間を要したため、研究期間の延長を余儀なくされた。これに伴い予算の次年度繰越と配分の変更が必要となった。
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