研究課題/領域番号 |
19K11609
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研究機関 | 大阪商業大学 |
研究代表者 |
迫 俊道 大阪商業大学, 公共学部, 教授 (40423967)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | なぞり / さぐり |
研究実績の概要 |
2020年4~5月に調査対象組織の神楽団に対する参与観察を再開する予定であったが、新型コロナウイルスの影響を受け、神楽団は活動を休止した。2020年8月に活動が再開し、参与観察を実施した。2020年8月22日、9月19日、9月26日、10月17日の合計4回であった(2019年度と比較すると激減)。練習時間も1~2時間と非常に限られたものとなった。練習状況はデジタルビデオカメラで収録し、練習内容は活動記録としてメモをまとめた。 2019年度に収録した映像をもとにしたインタビュー調査(再生刺激法をともなう)については、2019年3月に調査対象組織に所属する2名の者に対して実施した。2020年度は、インタビュー調査のトランスクリプトの作成を行った。インタビュー調査は、さらに1名、実施予定であったが、実施直前に調査対象者がPCR検査を受けることになり中止した。 2020年8月にスポーツ社会学者とオンラインで意見交換を行った。申請者の研究内容は、コーチングだけではなく、教師論、リーダー論に繋がるものであり、また「学ぶことをやめたら教えることはできない」という主張を芸道の身体所作を通じて行っているのが興味深い、という所見が得られた。 国立国会図書館を利用した文献研究(資料収集)を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響を受け、計画的に利用することが困難となった。その結果、申請者が所有している資料を、本研究の分析枠組みから整理した。 インタビュー調査および、文献研究の成果は、2020年8月にオンラインで実施された、日本地域資源開発経営学会第9回全国大会において、「伝統芸能の身体所作の教え方に関する一考察」という演題で研究報告を行った。質疑応答では、継承者、特に教える側の能力の問題、地域社会における伝統芸能の位置づけを問う質問などが寄せられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
既に実施した(2名の者に対する)インタビュー調査のトランスクリプトは完成しているが、調査の進捗状況は全体的に遅れている状態にある。新型コロナウイルスの影響を受け、本研究の調査の実施に関して、様々な制限が加わったためである。まず、第一に参与観察を予定通りに行うことが出来なかった。研究実績の概要でも説明しているが、調査対象組織の活動日数も少なく、また1回あたりの活動時間も限られたものとなった。また、対面で行うインタビュー調査に関しても予定通りに実施できなかった。文献研究についても、資料収集の方法が限定されたために、新しく入手することが出来た資料は少なかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの影響は続いており、2021年度も2020年度と同様に調査研究に様々な制限・制約が加われることを想定し、研究を推進していく必要がある。調査対象組織の活動は2021年5月現在、再開の目途は立っていない。今年度の活動も非常に限定的なものになる可能性は否定できない。そのため、映像分析に関しては、2019年度に参与観察で得られたデータを中心とする。 インタビューは、これまですべて「対面」の調査を想定していた。今後は、インタビュー調査を依頼する際には、オンラインによる調査となる可能性も含めて打診する(インターネットの通信環境等についても確認を行う)。安全性を最優先して、対面あるいはオンラインによる調査かを慎重に検討する。 2020年度に1度実施しているが、オンラインによる意見交換を行う。身体論に関して専門的知識を有する研究者と連絡を取り、オンラインによる意見交換会(複数人の参加による研究会も検討)を実施する。「なぞり」「さぐり」の概念の精査を行い、「教える、教わる」という関係性の学術的な意義を検証する。現在、数名の研究者に対して、調査協力の依頼を打診している。また、意見交換の際もしくはその後に、意見交換の内容を踏まえて、本研究に関連すると思われる資料の情報提供(あるいは資料のコピー等の提供)も依頼する。これは現時点で資料収集についても不十分な状態にあり、2021年度も国立国会図書館の利用および出張の制限が継続することが考えられるためである。 昨年度までの研究成果に関しては、2021年7月にオンラインで開催予定の日本地域資源開発経営学会第10回大会において研究報告を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響をうけ、文献研究、意見交換を行うための「旅費」を使用することが出来なかったことが影響している。今後は、新型コロナウイルスの影響を見定めながら、文献研究、意見交換の機会を検討すると同時に、オンラインを活用した意見交換等を実施し、謝金の支払いを行いたい。
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