研究課題/領域番号 |
19K11610
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
堀井 大輔 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 准教授 (20340424)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 動機づけ / 運動意欲 / ベイズ推定 |
研究実績の概要 |
運動の動機づけに関する研究では、動機づけは自身の運動経験、家族・きょうだい関係、目標志向性・周囲の雰囲気などの要因と関連していることが指摘されている。しかし、これらの相互関係は複雑であり、運動の動機づけに個人差が生じる理由を単純に説明することは容易ではない。そこで今年度の研究では、ベイズ推定によって、運動に対する動機づけの個人差に関連する要因について、いくつかの傾向を明らかにし、運動の動機に関する推論と予測のための資料を提供することを目的とした。 被験者は、本研究に承諾した一般成人424名(男性175名と女性249名)であり、運動の動機づけに関する情報は、7因子50項目からなるアンケート用紙によって、5段階評価で回答され収集された。分析方法は、ベイズ推定を用いて事後分布を求め、収集データから運動の動機づけを推測できるように原因と結果を関連づけた。 結果、予想される事後分布の推定値(EAP)をみると、男性の場合、スポーツの重要性の認知が0.50(PSD = 0.06、95%CI = 0.38~0.62)、父親の要因が0.23(PSD = 0.06、95%CI = 0.11~0.36)、母親の要因が0.17(PSD = 0.06、95%CI = 0.05~0.29)であった。女性の場合、それぞれ対応する推定値は0.57(PSD = 0.05、95%CI = 0.48~0.67)、0.10(PSD = 0.05、95%CI = 0.00~0.21)、および0.19(PSD = 0.05、95%CI = 0.09~0.29)であった。本研究では、運動の動機を分析するための厳密なアプローチを提供し、事後確率を介して運動の動機に影響を与える要因の程度を明らかにした。しかし、モデルの構築・選択については、他の要因の影響も考えられることから、複数のモデルによる比較検討を行っていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
収集したデータを分析した結果について国際学会で発表し、さらに関連する論文の執筆作業を行った。しかし、新型感染症の影響もあり、被験者や補助員の確保ができないこともあった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はモデルの再構築のため、事前分布の客観性を確保しながら、多次元のパラメータの妥当な推定値を得ることを試みる。 モデルの再構築・選択では、先行研究において提案されている既存のモデルを調整したり、言語的・概念的モデルを本研究のモデルに落とし込んだり、発育・発達モデルやその行動レベルの効果などから新規にモデルを作成することも試みる。このように観測されたパターンの背後にあるプロセスやランダム効果を組み合わせることで、様々なデータソースを統合して推論を行うことが可能となる。このようなモデルは、実際の現象に即した統計モデリングの可能性を飛躍的に向上させると考えられる。このことによって、運動意欲の形成過程モデルが示す予測について、確率的な意味で推論することが可能となると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究はおおむね順調であったが、新型感染症の影響もあり、研究発表を行った国際学会がオンライン開催となり、予算計上していた旅費等が不要となった。さらに、被験者や補助員の確保ができないことがあったため、人件費や謝金の支出額が予定額よりも少なくなった。したがって、次年度への繰り越しとなった。
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