研究課題/領域番号 |
19K11615
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
深澤 浩洋 筑波大学, 体育系, 教授 (50313432)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 公教育 / スポーツ教育 / 民主主義 / 相互尊重 / 尊敬 / グローバリゼーション / 私的領域 / 競技 |
研究実績の概要 |
2020年度に行ったシティズンシップ教育の理念・思想に関する探求を受け、この教育の目的を同定すべく収集した文献・資料の分析を進めた。政治体制(民主主義)や教育政策を視野に入れてシティズンシップ教育を構想する際に、公共性が鍵となること、それがコミュニティ形成論とはまた異なる文脈で捉えられることが重要であることを押さえた上で、そのような公共性を体育やスポーツ教育においていかに実現が図られるべきかという課題設定のもと、文献・資料にもとづいて考察を重ねた。 そして、公共性に関する内容を含んだ体育論・スポーツ教育論の文献に関する分析を進めた。その結果、スポーツは確かに私的領域として展開されてきた側面がある一方で、学校体育のような公的領域において展開されることで、相互尊重、共感、民主主義といったものの価値や意義を掘り下げる可能性がいかに見出されるかについて検討した。これは、21世紀型能力として体育が提示している事項との整合性を見出す可能性にも関連していることが示唆された。 また、シティズンシップ教育の一例としてオリンピック・パラリンピック競技大会に着目し、相互尊重や共感、グローバリズムとローカリズムなどの視点からオリンピック・パラリンピックムーブメントに対する市民の理解に関する調査に着手した。これは、グローバルとローカルという一見相反する両者の関係がこうしたムーブメントに市民が関与することでいかに適切な関係性を構築しうるかを見定めることを意図したものであり、競争を伴うスポーツ競技においてもこれらの価値を生み出す可能性について考察を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度に引き続き、学内における学群での組織長の補佐並びに大学院の一教育組織長として様々な新型コロナ対応に当たる必要があり、学内業務に忙殺されたことで、研究活動に十分な時間を割くことができなかった。 学会大会など他者との直接的な交流の機会が減り、オンラインによる交流にも限界があったことで着想を得る機会に乏しかったこともその遠因に挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度も学内業務・役割分担は減るどころか増加している。収集した資料の分析には人件費を使用して(旅費に予定していた費用をそちらに回す)効率的に進める予定である。国内学会大会はオンサイトにて行うようになることが予想されるため、学会発表を通じて考察を深めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内旅費に使用する予定がコロナ禍で使用できなかったため。 2022年度は国内学会がオンサイトで開催される予定であることからその旅費に充てる。
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