研究課題/領域番号 |
19K11616
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
加藤 謙一 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (00177437)
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研究分担者 |
小林 育斗 作新学院大学, 経営学部, 准教授 (90779026)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 投能力 / 投動作 / 発達バイオメカニクス |
研究実績の概要 |
幼児の投運動の発達に関する研究は、体力・運動能力の水準が高かった1985年以前のものが多く、2000年以降の幼児を対象としてその特徴やその性差を明らかにしたものは数少ない。投運動は、幼児期からその能力や動作に明確な性差があることから,現在における幼児の投運動の特徴及びその性差を明らかにすることは有意義であると考えられる。本研究では,幼児の投能力及び投動作をキネマティクスの観点から分析し,現在における幼児の投運動の特徴及びその性差を明らかにしようとした。 被験児は,5歳男児14名,女児15名の計29名であった.実験は,テニスボール投げを2台のビデオカメラで撮影し(120 fps),投距離、投能力及びその動作要因をそれぞれ分析した. 投距離(男児5.9 ± 2.1 m,女児4.9 ± 1.5 m)は,男女の間に有意な差はみられなかった.約35年前の値と本研究の値を比較すると,投距離では本研究の方が約35年前よりも男児では2 m,女児では0.2 m短く,また,男児の投射初速度と投射高は,本研究の方が有意に低い値であった. 身体各部位の速度変化は,男児では肩→肘→手首・手先・ボールと,体幹部近くから末端へと順序よく最高速度が出現していた.女児では,肩よりも肘の最高速度の方が早く出現していた.この傾向は,約35年前の幼児の特徴と同様であった.体幹の捻りについて,5歳児の投動作の優れた子どもは,肩や腰の動作が大きく使えること,そして肩を後方へ引いて肩と腰の捻りを作ることで投距離を向上させること,女児では体幹の捻りが少ないことが報告されている.最大バックスウィング時の肩角度,腰角度および体幹の捻りは,男女の間にそれぞれ有意な差はみられなかった.約35年前と本研究を比較すると,男児は投射初速度および投射高が有意に低下し,女児はすべての項目において有意な低下はみられなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は、研究1年目であり、幼児の投運動に関しておよその研究結果を得ることができた。その一方で、この研究成果を学会発表し、学術雑誌に投稿する予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大を防止するために学会が中止となった。今後、その影響がどの程度あるかは予測できないため、不安な要素が多々ある。また、今後の研究を進めていく上で、現場との研究環境が不安となった。
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今後の研究の推進方策 |
前述したとおり、新型コロナウィルス感染拡大防止のために、教育現場にどの程度、関与できるかが不安となっている。万が一、データ収集ができななくなった場合は、文献などからの研究をもとに目的を達成することを考えるが、まだ、時間的な余裕もあるので、少しずつ計画的に進めて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定されていた物品が安く済んだのでその分の残額が残った。令和2年度はその分を他の物品等に充てる。
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