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2020 年度 実施状況報告書

オノマトペや比喩表現の口頭教示による運動スキル習得効果の実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K11618
研究機関東京農工大学

研究代表者

田中 秀幸  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70231412)

研究分担者 奥住 秀之  東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70280774)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード潜在学習理論 / 再投資理論 / 生体力学的比喩 / 運動学習 / 運動学的シナジー
研究実績の概要

令和元年度は,生体力学的比喩を用いた教示が,明示的な教示によって誘導される運動パターンと同様の運動パターンを誘導できることを確認した.そこで,令和2年度は,異なる3つの教示方法(3つの技術ルールを明示的に教示する方法,同じ3つの技術ルールを比喩で教示する方法および3つの技術ルールの情報を統合した比喩で教示する方法)が運動学習に与える影響を明らかにすることを目的として,実験を実施した.

大学生45人がダーツ投げ実験に参加した.参加者は3群にランダムに分けられ,各群の実験参加者は,3種類の教示法のいずれか一つの教示を与えられ,ダーツ投げ練習を行った.ダーツ投げ練習の前(プレテスト),1日後(保持テスト),課題困難度が増した条件(転移テスト)において,ダーツ投げ動作時の3次元座標値をモーションキャプチャーシステムを用いて測定した.キャプチャーデータから手首・肘・肩の運動学的変数を算出した.

情報を統合した比喩教示法の学習者は,プレテストに比べて,保持テストおよび転移テストにおいて,ダーツ投げパフォーマンスが有意に向上した.一方,他の2つの教示法学習者は,運動パフォーマンスの向上が見られなかった.情報を統合した比喩教示法の学習者は,プレテストに比べ,リリース時の手首の関節角度の変動性が有意に低下した.他の2つの教示法学習者は,関節角度の変動性に有意な変化が認められなかった.情報を統合した比喩教示法の学習者は,関節間協調構造(運動学的シナジー)に顕著な変化が認められた.これらの結果は,運動技術ルールの情報を統合した比喩教示が,運動パフォーマンスの向上および運動効率の変化(協調性の向上)を誘導することを示唆する.その一方で,運動技術ルールを個別に比喩化した教示法は,運動学習に良い効果をもたらす可能性が低いことが明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題では,次の2つ下位問題を検証することを目的としている:①オノマトペ・比喩の表現を用いた口頭教示が直感的な運動イメージを伝達する効果があることを示すと供に,この仕組みが運動スキルを高めるための効果的指導法の背景にあるメカニズムであることを確かめる.②子どもや発達障害児を対象として,オノマトペ・比喩の表現を用いた口頭教示が運動スキルを高める効果的な指導法であることを実証する.
今年度は,比喩の表現を用いた口頭教示が運動学習に効果があることを示すことができたので,概ね順調に進展していると評価した.
ただし,令和2年度は,新型コロナ禍の影響により,国際学会において論文公表することができなかった.

今後の研究の推進方策

研究計画の最終年度(令和3年度)は,こども(小学校児童生徒)を対象として,比喩表現を用いた教示法が,運動パフォーマンスの向上に貢献するかを検証していく.
また,研究成果を国際ジャーナルにて論文公表行う.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響で,予定していた国際学会への参加をキャンセルしたため.
次年度使用額は,国際ジャーナルのOpen Access費として使用予定である.

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公開日: 2021-12-27  

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