【最終年度に実施した研究の成果】前年度までに解析した各生理指標のデータをもとに、(1)最大努力による右手掌握運動の準備に伴う前頭皮質活動と心循環応答の関連、(2)準備期の反応と運動後のストレス反応との関連についての検討を行った。(1)については、左右背外側前頭前野(DLPFC)の活動(脳酸素飽和度)、心臓自律神経活動(心拍数、心拍変動を指標とした副交感神経活動指標)について、運動条件と対照条件の差分値を算出し、準備以外の要素を極力除いたデータを作成し、安静期と準備期における左右DLPFC活動に対する心臓自律神経活動の相関を求め、両指標の関連を明らかにすることができた。(2)については、唾液アミラーゼ値をストレス反応とし、安静期よりも運動後に高値を示した群(高値群)と低値を示した群(低値群)に分けて検討し、高値群においてのみ準備期の反応と運動後の反応に関連がみられることを明らかにできた。 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】本研究は、(1)準備期の予測的心循環反応とストレス評価を担うDLPFCの左右非対称性活動との関連、(2)準備期の予測的反応と運動後のストレス反応との対応について明らかにすることを目指したものであった。その結果、(1)については、努力を要する運動への準備の有無により、左右DLPFCの活動と心臓副交感神経活動との連動性が異なることを明らかにできた。(2)については、準備期の心臓副交感神経活動は運動後の交感神経副腎髄質系の反応と関連していることを明らかにできた。
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