2017年3月に告示された新学習指導要領における現行学習指導要領の成果と課題をみると,子どもの体力低下に歯止めがかかったものの,体力水準の高かった1985年と比較すると依然として低い状況にある.このことを踏まえて,教科体育では体つくり運動以外の領域においても,学習した結果として体力向上を図ることが求められている.また,日本学術会議の提言(2017)によれば,子どもの動きの獲得に重要な時期を過ごす小学校における体育の指導内容および指導方法の改善を求めている. 本研究では,体力・運動能力向上を配慮した小学校ボールゲームの指導プログラムを開発し,その有効性を検証することを目的とした.そのために,本研究は,2019年~2022年の4年間にわたり,以下の計画に基づいて実施した. 【研究課題1】体力・運動能力向上を配慮したサッカーミニゲームの負荷特性 【研究課題2】体力・運動能力向上を配慮したサッカー指導プログラムの効果検証 【研究課題3】研究成果の指導現場への周知 研究課題1では,1回の運動に対する負荷特性を検討した(横断的研究).研究課題2では,立案した指導計画をもとに,小学校の体育授業に介入し,その効果を検証した(縦断的研究).研究課題3では,研究の成果をまとめ,指導現場へ周知した.なお,2020年度から2021年度の2年間はコロナ禍のため学校現場で調査研究することができなかったため,2022年まで研究期間を1年延長することとなった.本研究の結果,同じ少人数のゲームでもコートの広さを工夫することにより体力つくりに対する効果が得られることが明らかとなった.本研究の成果は,指導現場における授業づくりのための新しい視点となるものと考えられる.
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