研究課題/領域番号 |
19K11636
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
柳町 幸 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (70372282)
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研究分担者 |
柳町 悟司 東北女子短期大学, その他部局等, 准教授 (10535727)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乳糖不耐症 / ラクターゼ製剤 |
研究実績の概要 |
R2年度、乳糖不耐症症例の乳製品摂取状況の調査を行った。乳糖不耐症には、呼気中水素濃度が上昇するものの腹部症状を来さない“潜在性乳糖不耐症”と呼気中水素濃度が上昇し腹部症状も来す“顕性乳糖不耐症”が存在する。 膵性糖尿病症例への食事調査の結果、潜在性乳糖不耐症症例は、乳糖10~20gを含む乳製品は日常的に摂取していた。一方で、顕性乳糖不耐症症例では日常的な乳製品の摂取はなかった。本結果から、乳糖20g/日程度の摂取であれば、潜在性乳糖不耐症症例に対するラクターゼ製剤の投与は不要と考えられた。 13C乳糖の0.1gおよび0.5g投与で13CO2頂値が正常例に対し、乳糖不耐症例で約2倍であった。13C乳糖が大腸において発酵反応を受ける可能性が推察されたが、これを明らかにする検査方法の確立に時間を要している。R3年度は、13C乳糖負荷試験を潜在性および顕性乳糖不耐症症例行い13CO2頂値と発酵反応の相違について明らかにしたい。 R2年度、共同研究者はラクターゼ製剤による乳糖加水分解をin vitroで評価する研究を行った。以前の研究(in vivo)で、ラクターゼ製剤の由来する微生物の違い(アスペルギルス由来、ペニシリウム由来)によって乳糖不耐症に対する効果に相違があることを示した。そこでラクターゼ製剤による乳糖加水分解反応をin vitroで観察し、由来する微生物の相違によって効果が異なる原因の解明を試みた。その結果、由来する微生物が異なってもラクターゼ製剤の酵素活性とpHの関係には大きな違いは認めなかった。しかし、pH4での乳糖加水分解速度はアスペルギルス由来のものがペニシリウム由来のものを上回る結果であった。in vivoの結果からの予測と異なったため、R3年度は胃での反応としてpH2~5.5、小腸での反応としてpH6~7で、それぞれのラクターゼ製剤の乳糖加水分解速度を比較する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
13C乳糖の0.1gおよび0.5g投与で13CO2頂値が正常例に対し、乳糖不耐症例で約2倍であった。13C乳糖が大腸において発酵反応を受ける可能性が推察されたが、これを明らかにする検査方法の確立に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
13C乳糖負荷試験を潜在性および顕性乳糖不耐症症例行い13CO2頂値の相違の有無を明らかにすることと、発酵反応の相違について明らかにすることを並行して行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
13C乳糖負荷試験において、正常例と乳糖不耐症例の結果が予測と異なる結果になり、それを明らかにするための追加研究が必要となった。追加研究のために準備する安定同位体の必要量が確定しなかったため、当該年度に安定同位体基質の購入ができず次年度に繰り越すことになった。
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