13C乳糖の0.1g投与を正常例1例、顕性乳糖不耐症2例、潜在性乳糖不耐症1例で行った結果、13CO2頂値が正常例では開始3時間の10.1‰であったのに対し、顕性乳糖不耐症例ではそれぞれ、4時間の11‰、5時間の16.8‰、潜在性乳糖不耐症例では5時間の20.8‰であった。乳糖不耐症症例で正常例より頂値に達する時間が遅く、頂値が高値を示したが、顕性と潜在性乳糖不耐症の鑑別には用いることは不可能であるのみならず、乳糖不耐症診断にも用いる事が難しいと考えられた。そこで、投与量を増量し、正常例1例、乳糖不耐症1例に対し、0.5gの基質を投与し呼気検査を施行した。その結果、13CO2頂値は正常例開始5時間の59‰、乳糖不耐症例も開始5時間の117.7‰が頂値であり、13CO2の回収率が後者において約2倍に上昇するという結果であった。1例ずつの検討ではあったが、呼気回収時間が5時間であったことから、13C乳糖が大腸に流入後、発酵反応を受けて吸収された可能性が推察された。最終年度に13C乳糖の吸収過程を明らかにする方法を検討したが、検査対象例を増やすことおよびそれぞれの症例における腸内細菌の評価を行うことが必要であるという結論に至った。しかし、13C乳糖は高額であり、検査症例数を増やすことは難しく、少数例での検査のみの施行に止まる結果となった。また、本題で顕性乳糖不耐症と潜在性乳糖不耐症の鑑別に本検査を用いることも困難であると推察された。今回の検討を通し、乳糖不耐症の検査に関しては乳糖負荷後の呼気中水素測定が、顕性乳糖不耐症と潜在性乳糖不耐症の鑑別に関しては、呼気中水素測定と検査時の症状の有無を用いた従来の検査方法が最も有用な簡便な検査であると結論づけられた。
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