研究課題/領域番号 |
19K11639
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩部 美紀 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (70392529)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 腸内細菌叢 / エピゲノム / メタボローム |
研究実績の概要 |
わが国の悪性新生物による死因は、全死因の28.5%を占め、大腸癌の死亡率は、男性で3位、女性で1位である。この大腸癌の発症・進展には食事などの環境因子が与える影響が非常に大きいが、その詳細なメカニズムは未だ多くが明らかになっていない。これまでに、食事に含まれる栄養素の量的・質的変化が寿命に影響を与えること、およびその分子メカニズムを明らかにし、食事誘導性の大腸癌発症メカニズムとして、腸炎および大腸癌を抑制する生理活性物質ISPP1の同定に成功した。本課題では、(1)高タンパク食による生理活性物質ISPP1の発現・分泌抑制メカニズムの解明、(2) ISPP1の腸内細菌叢に与える影響の検討、(3)組織特異的ISPP1欠損マウスを用いた大腸癌発症メカニズムの解明を目的とし、これまでに明らかにされていない食事誘導性の大腸癌発症メカニズムを明らかにする。 (1)高タンパク食によるISPP1の発現・分泌抑制メカニズムの解明:令和元年度は、栄養素の変化によって起こるDNAメチル化およびヒストンの化学的修飾等を解析し、ISPP1の発現を制御する規定因子の同定を行った。(2)ISPP1の腸内細菌叢に与える影響の検討:令和元年度は、次世代シーケンサーを用いたISPP1欠損マウスの腸内細菌叢の網羅的解析を実施した。さらに、リコンビナントISPP1の投与による腸内細菌叢の変化の解析に着手した。(3)組織特異的ISPP1欠損マウスを用いた大腸癌発症メカニズムの解明:令和元年度は、CRISPR/Cas9システムを用いた組織特異的ISPP1欠損マウスの作製に着手した。さらに、大腸癌モデルマウスにリコンビナントISPP1を投与し、病態が改善しうるかどうか検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時、予定していた研究項目((1)高タンパク食による生理活性物質ISPP1の発現・分泌抑制メカニズムの解明、(2)ISPP1の腸内細菌叢に与える影響の検討、(3)組織特異的ISPP1欠損マウスを用いた大腸癌発症メカニズムの解明)、全ての研究項目について、それぞれ令和元年度に予定していた計画内容について、当初の計画通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度については、当初予定していた計画内容について、ほぼ達成した上、さらに一部の研究計画については、当初の計画以上に進展している。そのため、本研究の推進において、研究体制及び研究計画に大幅な変更の必要性は低いと思われ、当初の計画通り、研究を推進する予定である。本研究課題のさらなる進展・加速を目指すべく、研究連携者を含めた各人の実験の精度の向上とスピードアップを図り、目的を早期に達成したいと考えている。
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