研究課題
基盤研究(C)
本研究は、栄養介入によるサルコペニア予防を目指して骨格筋の機能維持に関わるビタミンDの新規作用機序を解明することを目的とした。異なるビタミンDシグナルを欠損した3種の遺伝子改変ラットの骨格筋における表現型を比較することで、骨格筋の機能維持に重要なビタミンDシグナルの同定を試みた。その結果、従来のビタミンD受容体(VDR)を介したシグナルだけでなく、近年報告が相次いでいるVDR非依存的なビタミンDシグナルも骨格筋の機能維持に関与している可能性が示された。
食品科学
ビタミンDの代表的な生理作用として腸におけるカルシウム吸収促進を介した骨形成作用が挙げられる。そのため活性型ビタミンDは骨粗しょう症治療薬として応用される一方、強すぎるカルシウム作用の為、骨疾患以外への応用は難しい。本研究では、強力なカルシウム作用が知られる既存のビタミンDシグナルとは別のシグナルもまた、骨格筋機能維持に関わる可能性を示した。本研究で得られた知見は作用分離型のビタミンDおよびその製剤の開発に寄与することが期待される。