研究課題/領域番号 |
19K11646
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
金 東浩 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (70326271)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | セレノプロテインP / インスリン抵抗性 / 2型糖尿病 / リポタンパク質受容体 |
研究実績の概要 |
本研究は,セレノプロテインPの過多による2型糖尿病発症の分子機構を解明し,セレン欠乏に陥ることなく2型糖尿病発症を抑制できる制御機構を確立するための食品成分の同定を目的としている.セレノプロテインPの過多はインスリン抵抗性を惹起し2型糖尿病発症の原因となることが示され,必須微量元素セレンの食品栄養科学的な重要性が再認識されている.しかし,セレノプロテインPの過多が惹起するインスリン抵抗性の詳細な分子機構は不明である.また,セレノプロテインPの産生を阻害すれば,2型糖尿病発症を抑制できると予想される一方,全身でセレン欠乏が惹起される副作用も考えられる.私たちは,セレノプロテインPの細胞内への取込みを担うリポタンパク質受容体に注目し,『肝臓でのセレノプロテインPの産生阻害は,全身のセレン欠乏を惹起するが,リポタンパク質受容体を介したセレノプロテインPの取込みを食品成分によって制御すれば,セレン欠乏に陥ることなく2型糖尿病発症を抑制できる』との仮説を立てた.本年度の研究では、セレノプロテインPの大量精製とApoER2とその他のリポタンパク質受容体を過剰発現するHEK293細胞を作製した.リポタンパク質受容体の過剰発現細胞を無血清培地で培養し,精製したセレノプロテインPの結合能と糖代謝関連遺伝子発現量の測定を行った.また、糖代謝関連タンパク質のリン酸化レベルを免疫ブロット法により検討し,セレノプロテインPの過多によりシグナル伝達経路の変化を検討した.現在,これらの活性を急速に測定できるルシフェラーゼレポーターアッセイ系を構築している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度のセレノプロテインP精製の低収率により精製実験を繰り返すことになった点と新型コロナ感染症の拡大により実験実施がやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
構築したin vitroでのバイオアッセイ系を用いて,セレノプロテインPの過多による2型糖尿病発症の分子機構を細胞レベルで解明し,発症を抑制する食品成分の探索を試みる.また,同定した食品成分を2型糖尿病モデル動物に投与し,in vivoでの発症制御能を検証行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の拡大により、旅費などの費用が少なかったため
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