研究課題/領域番号 |
19K11647
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
中道 敦子 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (20567341)
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研究分担者 |
古株 彰一郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (30448899)
星野 由美 神奈川歯科大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60457314)
邵 仁浩 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (10285463)
本田 尚郁 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10840085)
松原 琢磨 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (00423137)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 体脂肪率 / 隠れ肥満 / 隠れ肥満傾向 / 骨格筋量 / 若年女性 |
研究実績の概要 |
Clinical research ヒトを対象とした調査 COVID-19のパンデミックにより、2020年度計画の事業所における成人の体組成測定、口腔機能およびうま味感受性検査は全て中止した。そこで、2020年7月に健康な若年女性98名(19.9±1.3歳)を対象に、体組成測定(Inbody470)、食行動質問票調査(YN食行動質問票)、栄養摂取量調査(BDHQ)を実施した。2019年度の体脂肪率と味覚感受性に弱い相関があった結果を踏まえ、うま味感受性に対して体脂肪と骨格筋のどちらが、どのように関連しているのかを、より詳細に検討するため、BMI正常群について、日本肥満学会の判定基準をもとに体脂肪率27%未満「標準」、27%以上30%未満「隠れ肥満傾向」、30%以上「隠れ肥満」の3つに分けて筋肉量と骨格筋量を検討した。その結果、体脂肪率が高い群ほど筋肉量と骨格筋量共に減少し、「標準」と「隠れ肥満」については有意であった。若年者BMI正常群の細分類で見られた筋肉量の差は、成壮年期や高齢期にどう変化し、うま味感受性とどう関連していくのかを、体脂肪率と骨格筋量の両軸で検討することの方向性を確認した。一方で、体組成を帰結とする過程について、肥満者に類似した食行動の傾向(YN食行動質問票)と栄養摂取状況(BDHQ)を調査した結果、有意差が無かった。しかし、うま味感受性と体組成に関連する要素であると考えられることから、今後の成壮年期や高齢期を対象とした調査においても、栄養摂取状況を把握する。加えて、体組成に直接関連すると思われる運動習慣の状況も調査し、フレイルサイクルから検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度予定の40歳代を対象とした調査は実施出来なかった。その理由は、舌の味覚受容体に対してグルタミン酸ナトリウム水溶液を用いて行う味覚感受性検査は、検査者と被験者の距離が近く被験者はマスクを外す必要があり、検査時の含嗽の吐出液の処理も含めて、新型コロナウイルス感染リスクが高いと判断したためである。加えて、調査予定先の事業所の方針で、外部者の施設内立ち入りが困難となったことである。この成人対象の調査は本研究における主要な位置づけであったため進捗が停滞した。そこで、実施可能な内容に絞って、健康な若年女性98名(19.9±1.3歳)を対象とした体組成計測と質問票のみ調査を実施した。その結果BMI正常範囲でも体脂肪率が高いと骨格筋量が少ないことが判明した。生活習慣と体組成は加齢とともに個別性が高くなるとすると、成壮年期の調査でより明確な結果が得られれば、うま味感受性との関連で何らかの知見を得る事ができるかもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
Clinical research ヒトを対象とした調査 2021年最終年度は、骨格筋量の減少について、味覚障害から食事摂取量の減少と低栄養へのベクトルを確認するため、栄養摂状況と運動習慣の把握を含めて、2020実施できなかった事業所従業員(40歳代の男性100名程度)および健康な高齢者を対象とした調査を行う予定である。この調査による、年代別のうま味感受性と体組成の関係についての知見は、ライフコースにおいて健康維持に有用な介入方法に資する成果となる可能性がある。一方で、味覚感受性の検査方法については、全口法など検査者と被験者が接触せず、感染リスクが低い方法を検討する必要があるため、2021年度前半に検討する。
Laboratory test 骨格筋代謝の解析 うま味受容体はTas1r1とTas1r3の複合体であり、これまではTas1r1に着目してデータを出してきた。最終年度ではTas1r3ノックアウトマウスも骨格筋を解析し、Tas1r1のデータと合わせて考察することで,骨格筋代謝におけるうま味受容体の役割の解釈を決定したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、COVID-19感染症のパンデミックにより計画していた調査が出来なかった。この調査は、事業所の従業員対象であり、調査に使用する物品費以外に、機器搬入や旅費等の調査に付随する費用を計上していたため、未使用分の残額となった。最終年度の2021年には1年遅れて調査を実施し、結果分析および成果発表を行う。
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