研究課題/領域番号 |
19K11650
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
小西 香苗 昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (70238103)
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研究分担者 |
佐田 文宏 中央大学, 保健センター, 嘱託職員 (90187154)
山中 健太郎 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (90359662)
清水 史子 昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (40435269)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | DOHaD / 出生体重 / 妊娠中体重増加量 / 妊娠前BMI / 母子健康手帳 / 体組成 |
研究実績の概要 |
近年、胎生期から乳幼児期に至る栄養や環境化学物質、社会環境などの様々な要因が将来の生活習慣病発症リスクに影響するというDevelopmental Origins of Health and Disease (DOHaD)という概念が提唱されている。わが国で増加する低出生体重児や20・30歳代女性の「やせ」の増加、若年成人女性の低栄養などの現状を背景に、DOHaDの観点から妊娠前から妊娠中の適切な栄養摂取および体重管理が、将来の生活習慣病予防の観点から重要視されている。本研究では、(1)母子健康手帳データを用いて妊娠中の体重増加量軌跡パターンを低出生体重のリスク要因ごとに検討する。(2)胎児期、出生時、1歳6ヶ月時、3歳時点の体格が若年成人期(現在)の体格・体組成にどのように関わっているかライフコース疫学の概念を用いて検討する。(3)妊娠前(若年成人)女性における、正常体重肥満(隠れ肥満)者へのランダム化比較試験を通じて、予防的な生活・食習慣改善法の確立を目指すものである。 本研究の初年度である2019年度は、若年成人期(現在)の体格・体組成データを得るための「健康度測定会(For me)」開催準備とその実施を行った。健康度測定会では同時に母子手帳データおよびや交絡要因となる現在の生活習慣・食習慣についての自記式質問紙調査を行った。2019年度は総数200名余りの研究協力を得て、単純集計および途中解析も行っている。 母子健康手帳に記録された母親の妊娠前体格および妊娠中の体重増加量とその後の児の体格との関連の検討を途中解析にて行った。対象者144名のデータを用いた解析において、妊娠前BMIおよび妊娠中の体重増加量と児の体格との関連では、妊娠中の体重増加量よりも妊娠前BMIの方が強く影響を与えていた。さらに、妊娠前BMIは妊娠中の体重増加量の増減の影響を受けずに児のその後の体格に直接的に強い影響を与える要因であることが示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度の2019年は、調査票作成、健康度測定会開催準備、倫理申請など研究の立ち上げに多くの時間がとられたが、無事に健康度測定会も定期開催ができるようになり、定期的なデータ収集体制が整った。また、目標の300名には到達しなかったものの、2019年度には約200名余りの研究協力を得て、途中解析も行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる2020年度は、健康度測定会の定期開催の継続によりさらにデータ収集を行う予定である。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響で、健康度測定会を開催できず、現在、データ収集はストップした状況である。今後、対象者である若年成人女性(大学生)が大学へ通学する機会が増えてくるのを見計らって、感染予防対策を十分行った上で、継続してデータ収集を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入費が予定より少なく済んだため、次年度使用額が生じた。 次年度は、継続して健康度測定会を開催してデータ取集を行っていくための、調査票印刷費、研究対象者への謝礼品、データ入力費、研究機器メンテナンス費用、消耗品費などの使途を予定している。 具体的には、調査票など印刷費(3万円)、研究対象者への謝礼品(15万円)、データ入力費(5万円)、研究機器メンテナンス費用(1万円)、消耗品費(5万円)、コンピューター購入費用(10万)、論文作成のための英文校閲費(5万)や文献管理ソフト(5万)、学会発表のための費用(10万)等の支出が予想される。
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