研究課題/領域番号 |
19K11651
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
安達 三美 帝京大学, 医学部, 教授 (10323693)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 老化 / 糖質コルチコイド / 細胞老化 / p16 / SF1 / 高脂肪食負荷 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、副腎皮質から産生分泌されるステロイドホルモンである糖質コルチコイド(Glucocorticoid: GC)の老化促進の役割を解明することである。 これまでに、高齢マウスではGC分泌の日内変動がほぼ消失し、一日を通じて一番高くなるはずの夜並みの高い状態が続くことが明らかになった。本研究では、老化マウスの副腎皮質におけるGC産生メカニズムを解析し、また高GCによる全身老化への影響を検討した。昨年度までに、高齢 (OM) vs. 若いマウス (YM) 群の、また高脂肪食負荷により老化促進させたマウス(HFDM) vs. 通常食マウス(NM)群の、副腎皮質のGC産生を担う束状帯の比較解析(遺伝子発現解析及び蛍光免疫組織学的解析)を行った。その結果、OMおよびHFDMでは、副腎皮質束状帯に蓄積した老化細胞において、何らかの機序により、ステロイド産生における最も重要な因子であるSF1の発現が誘導され、ステロイド産生および分泌が誘導されることが示唆された。今年度は老化細胞除去薬(セノリテイック薬)による効果を検討し、老化細胞の減少に伴い、高GCの改善が認められた(論文作成中)。今年度はさらに、加齢または高脂肪食負荷によるGC分泌過多の全身老化への影響を調べるため、肝臓、骨格筋組織の解析を行った。その結果、GC分泌の日内変動が消失する24ヶ月齢以降に、エネルギー代謝に関与し、GC-GR (Glucocorticoid Receptor)により制御される可能性がある酵素群の遺伝子発現が、ダイナミックに変化することが示唆された。また、セノリテイック薬により改善する傾向が認められた。現在、高脂肪食負荷マウスの解析も行っている。高GCがフレイルに関与する可能性が考えられ、今後解析を行う予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染症の世界的な蔓延のため、抗体などの実験に必要な消耗品の流通が滞っていたことが主な原因である。結果として、老化モデルとして、遺伝子組み換えマウスを用いた実験が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)遺伝子組み換え老化マウスを用いて、GCの解析を行う。 (2)細胞老化を起こした細胞におけるSF1強制発現のメカニズムを探索する。Single cell RNAseqを予定している。 (3)GCの撹乱から老化促進へのメカニズムについて検討する。高齢vs. 若いマウス群の、高脂肪食群 vs. 通常食群の、骨格筋、脂肪組織、心臓、肝臓及び肺を用いて、DNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行い、両群間で共通した発現変動パターンを示す種々の遺伝子を抽出し、解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由)一昨年、昨年度から引き続き、レーザーマイクロダイセクションを使用して、マウス副腎から糖質コルチコイドを担う皮質の束状帯を単離する安定した技術を取得するのに時間がかかった。また単離した組織から安定したRNAを抽出する条件検討に時間を要したため。免疫組織学的解析の条件決定に時間を要したため。また、COVID-19感染症の世界的な蔓延のため、抗体などの実験に必要な消耗品の流通が滞っていたことが原因である。 (次年度における未使用額の使用計画)遺伝子組み換え老化マウスの実験を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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