研究課題/領域番号 |
19K11652
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
水野 晃治 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (10551046)
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研究分担者 |
坂上 弘明 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (80734855)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | うつ / 紫外線 / 日光 / ドパミン |
研究実績の概要 |
2019年度は、社会的敗北ストレスにより、うつモデルマウスを作成し、うつ様行動に対する、UVAの影響を検討した。 はじめに、効率的なうつモデルマウスの作製方法を確立した。一般的な社会的敗北ストレス負荷によるうつモデルマウスの作製率は50%であると報告されている。実際に我々の検討においても50%の確立でうつモデルマウスを作製出来た。しかしながら、モデル作製時に50%のマウスが使用できなくなることは非効率的である。そこで、効率的なうつモデルマウスの作製方法を検討した。我々の検討では、ストレス負荷を5回/dayに増やすことにより、うつモデルマウスの作製率を75%にまで高めることに成功した。うつモデルマウスの作製率の向上は、ロスの少ない動物個体の有効活用に繋がること、また、うつモデルにおける様々な波長光線の影響を効率的に検討することに繋がると考えられる。 確立したこのモデルを用いて、うつ様行動に対するUVAの影響を検討した。4週間処置後、うつ様行動をsocial interaction試験およびゼロ迷路試験により検討した。UVA処理群は、social interaction時間の延長傾向およびsocial avoidance時間の短縮傾向が認められた。試行回数が少ないことから有意な変化を示すことが出来なかったが、モデル動物の作製方法が決まったことからこれから効率的に評価を行う事が出来るものと考えている。 また、予備検討として正常マウス脳側坐核にプローブを取り付け、UVAを剃毛した背部に照射し、マイクロダイアリシスにより、脳の活動性を評価した。UVAの照射中のみにL-dopaの増加が認められた。しかしながら、予備検討の為、再現性をとることが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概ね予定通り進んでおり、予備検討も進みこれから実験を進めていく予定であるが、コロナウイルスの蔓延により2月から徐々にスタッフの入室制限が掛けられている。また、4月より大学職員の出勤規制が強いられている。そのため予定していた動物実験を行う事が出来ない。
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今後の研究の推進方策 |
出勤規制解除後に実験を開始する予定である。 2020年度は、光による中枢作用の要因を探索するため、2019年度に引き続き動物行動実験を行うと共に、in vitro およびin vivoの観点から脳内、皮膚細胞および皮膚組織におけるペプチドホルモン、神経伝達物質等の分泌変化を中心に検討する。これにより、脳および皮膚局所における波長特異的光線の作用機序が明らかにする。 具体的な方法として、2019年度において作製したモデルの活性化脳部位に手術によりプローブを留置し、マイクロダイアリシス法により各光線照射時に神経伝達物質およびペプチドホルモン等を抽出し、LC/MSにより解析する。また本モデルの各処置群より皮膚を採取し、凍結破砕後、液性因子を抽出する。これをトリプシン消化後、フィルターろ過し、LC/MSによりペプチドホルモンおよび神経伝達物質の定量を行う。表皮細胞-線維芽細胞あるいは表皮細胞-脂腺細胞を、トランスウェルチャンバーを用いて共培養し (Sato T. et al. J Invest Dermatol. 1997)、動物実験と同様に紫外線、白色光あるいは近赤外線照射を行う。培養上清を回収し、これをLC/MSにより解析する。動物実験および細胞培養は、申請代表者が行い、LC/MSの解析は研究分担者である坂上が行う予定である。
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