研究課題/領域番号 |
19K11652
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
水野 晃治 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (10551046)
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研究分担者 |
坂上 弘明 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (80734855) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | うつ / 紫外線 / 日光 / ドパミン |
研究実績の概要 |
近年、厚生労働省より、豪雪地帯および寒冷地域においてうつ病罹患率との相関性が認められることが報告されており、天候は情動へ影響することが示唆されている。晴れた日は気分が晴れやかであり、曇りや雨の日は気が塞がるというように天候はヒトの精神的健康に大きく影響する因子の一つである。実際に、うつ病の治療法として人工太陽光を用いた光線治療が行われている。本研究では、光による精神的健康増進法の確立を目指し、太陽光に含まれる様々な波長光線に起因する皮膚細胞間相互作用を介した中枢神経への影響を in vitro および in vivo の観点から網羅的に解析し、波長特異的光線の精神的健康に対する影響を分子レベルで明らかにすることを目的としている。本研究課題では、うつ様モデルマウスにおいて紫外線A波(UVA)照射によりうつ様行動の改善傾向が認められた。また、質量分析器およびマイクロダイアリシス法を用いた解析によりマウス背部に対するLED光源によるUVA照射は、マウス脳内側坐核におけるL-dopaの増加を引き起こすことを見出した。これらの結果は、日常的に太陽光を浴びることで幸福感を得られる可能性を示しており、また、太陽光を浴びることは精神的健康増進に寄与する可能性があることを示唆している。しかしながら、皮膚にUVA照射を行うことによりどのような生理反応により中枢神経系に影響を及ぼしているかについては未だ未解決のままである。したがって、皮膚ー中枢神経相互作用について明らかにすることが重要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウイルス蔓延による緊急事態宣言の発動に伴い、研究施設への入校が制限された。したがって、計画していた動物実験を十分に遂行できなかった。また、実母が一時的に介護の必要な状況になってしまったため、当該年度の研究を十分に遂行することが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
世界的な感染蔓延のため、1年度研究計画が後ろ倒しになってしまったが、2020年度に予定していた実験計画に従い研究を遂行する。具体的には、動物実験のn数を追加し、これまでの研究成果を確たるものにする。また、2021年度に計画していた皮膚構成細胞における紫外線による作用の検討も同時に進めていく。すでに表皮角化細胞細胞株(HaCaT)および線維芽細胞を培養しており、これらの細胞における紫外線の影響およびそれに起因した神経細胞への入力について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの世界的な蔓延のため所属機関への入構制限により連日の研究遂行が困難であった。また、実母の一時的な介護のため研究遂行時間が得られなかったことから当該年度の研究計画が遂行できなかった。研究費は、2020年度予定していた研究計画および2021年度の研究計画に従い使用する。具体的には、2020年度に計画していた動物実験費および2020年度および2021年度に計画していた細胞培養費として使用する。また、研究遂行状況の遅れを取り戻すべく、適宜キットを使用して研究の効率化を図る。
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