研究実績の概要 |
【目的】2022年度の研究では、新たなフィールドにおいて、3か月間の適切な栄養教育と運動・身体活動支援による複合セルフプログラムの実施と自宅学習により、生活習慣の修正から栄養改善および運動器の機能向上の効果を検証した。 【方法】対象は、65歳以上のN市住民である。研究参加の条件は、要介護認定のない者および運動制限のない者とし、調査期間中の4回の教室にすべて参加できることを条件として募集した。N市高齢福祉課の協力のもと、研究参加希望を募った。介入前に実施した栄養調査・運動機能測定後に、無作為に「栄養指導・運動指導群」と「対照群」の2群に割付け、無作為比較試験を実施した。調査項目は、基本属性、生活習慣、食事・栄養状態、身体組成、身体機能、身体活動、健康状態、健康関連QOL(SF-8)等である。介入群には、栄養介入として、個人に適した望ましい食事選択と自己管理能力を養うように指導を行った。運動介入では、10日間の活動量の調査結果を基に、1日の身体活動量の目安を決定するとともに、自体重を負荷としたレジスタンス運動を安全に実施できるように指導した。栄養介入および運動介入共に、自宅でのセルフモニタリングを促す指導を行った。 【結果】登録時の研究参加者は、栄養指導・運動指導群15名(75.8±3.3歳,男性5名・女性11名)、観察群14名(75.1±6.6歳, 男性5名・女性8名)である。3か月後の調査では、2名の脱落があった。10食品群の多様性得点では、対照群では有意な変化は認められなかったが、介入群では有意に食品摂取の多様性得点が登録時に比べ高い結果を示した。運動機能においては、通常歩行について運動介入により有意な交互作用があることが明らかになった。健康関連QOLでは、精神的健康度と身体的健康度について検討した結果、介入群の身体的健康度は登録時に比べ有意に得点が高い結果を示した。
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