遺伝子多型に基づく個別化栄養による葉酸摂取推進活動において、介入後15年を最長としたフォローアップ講座を実施し、健康づくりに対する有効性を検討した。 2021年度に実施したアンケート調査では、2006年~2018年度講習会参加者756名のうち468人から有効回答が得られた。葉酸に関する自分の遺伝子型を覚えている者(43.4%、n=193)について、遺伝子型の意識や食生活改善の意識を検討した。覚えていない者に比べて食生活改善の継続(p= 0.0021)、葉酸摂取への意識(p= 0.0004)、葉酸強化食品やサプリメントの利用(p= 0.0001)の割合が高かった。遺伝子型に対する日ごろの意識では、意識している者がCC型47.8%、CT型51.7%、TT型64.9%であった。遺伝子型を知ることが食生活改善のきっかけとなった者は81.9%であり、CC型79.7%、CT型82.8%、TT型83.8%であった。いずれも多型での有意差は認められなかったが、TT型では意識が高い傾向が伺われた。続いて遺伝子型に対する意識とフォローアップ検査結果の関連について検討した。解析対象者97名のうち、遺伝子型を覚えている者は62名(63.9%)であった。覚えている者と覚えていない者における血清葉酸濃度、Hcy濃度、その他血液検査項目で有意差はみられなかった。葉酸摂取量、緑黄色野菜摂取量、野菜摂取量においても同様であった。 血清Hcy濃度は、初回7.6μmol/L、介入後6.1μmol/Lからフォローアップ9.8μmol/Lと高くなったが、介入後からフォローまでの上昇は、血清葉酸濃度が高いほうが抑制される傾向がみられた。遺伝子型の意識に関わらず、葉酸強化食品等の摂取がHcy上昇抑制に有効であるといえる。
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