研究課題/領域番号 |
19K11684
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大石 勝隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (50338688)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 体内時計 / 時間栄養 / 生活習慣病 / 骨格筋 / 睡眠 / 認知機能 / 食リズム |
研究実績の概要 |
摂食リズムの乱れに伴う生活習慣病の発症メカニズムの解明を目指し、今年度は、骨格筋の機能に着目した研究を行った。マウスを使った実験により、活動期のみの絶食を行った群では、非活動期の絶食を行った群に比べて、1週間という短期間で骨格筋の萎縮や筋力の低下が認められた。一方、肝臓への脂質の蓄積や脂肪組織の重量については、活動期のみの絶食を行うことにより、顕著に増加することが確認された。以上より、活動リズムと合致しない食リズムは、短期間で肥満を促進し、骨格筋機能を低下させる可能性が示された。 従来より毎日の朝食の摂取が小中学校の児童生徒の学校成績と相関することが知られている。我々は、マウスを使った実験により、慢性的な朝食欠食が認知機能に与える影響について検討を行った。その結果、2週間の朝食欠食(活動開始時刻から6時間の絶食)が、深部体温の日内リズムや睡眠覚醒リズムを乱し、新奇物体認識テストにより測定した長期記憶能を有意に低下させることが示された。さらに、海馬における認知機能関連遺伝子の発現も顕著に影響を受けることが判明した。以上より、長期的な朝食欠食は、体温や睡眠のみならず認知機能にも影響する可能性が示された。 独自に開発したヒトの不眠症への外挿が可能なストレス性睡眠障害モデルマウスを用いた糖代謝異常の発症メカニズムの解明においては、ストレス負荷を開始した初日において既に糖新生の亢進が認められ、グルココルチコイドとグルカゴンの分泌亢進が関与している可能性が認められた。時間栄養学に視点に立った睡眠障害改善法の開発においては、ナチュラルココアに睡眠障害による睡眠覚醒リズムの減衰や活動期における活動量の低下を改善する効果があることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
睡眠障害モデルマウスにおける糖代謝異常の発症メカニズムの解明、摂食リズムの乱れによる肥満及び生活習慣病の発症メカニズムの解明、睡眠障害及び睡眠障害に起因する生活習慣病の予防・改善を目指した時間栄養学研究のそれぞれにおいて、新たな知見を得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
睡眠障害モデルマウスを用いた睡眠障害による糖代謝異常の発症メカニズムの解明においては、肝臓での糖新生に着目し、短期的な影響と長期的な影響を比較することにより詳細なメカニズムを明らかにしてゆく計画である。 ココアによる睡眠障害改善効果については、ナチュラルココアに含まれる睡眠障害改善効果を有する成分の探索を始める。 朝食欠食モデルマウスを用いた、食リズムの乱れによる認知機能の低下については、海馬における認知機能関連遺伝子の発現変動の分子メカニズムの解明を目指し、エピジェネティックな制御に着目しながら研究を進める計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの組織を用いた網羅的な解析を行い、その結果を踏まえて検証実験を行う予定であったが、網羅的な解析が遅延したために、試薬等の購入まで至らなかった。次年度については、研究補助員の雇用についても検討し、研究の加速化を目指す。
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