研究課題/領域番号 |
19K11684
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大石 勝隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (50338688)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 体内時計 / 時間栄養 / 生活習慣病 / 骨格筋 / 睡眠 / 認知機能 / 食リズム |
研究実績の概要 |
睡眠障害は、うつ病や認知機能の低下と深く関連しているものと考えられているが、その分子メカニズムは不明である。今年度は、独自に開発したヒトの不眠症への外挿が可能なストレス性睡眠障害モデルマウスを用いて、オープンフィールドテストによる不安情動や新奇物体認識テストによる認知機能に与える慢性的な睡眠障害の影響を評価した。1週間の睡眠障害負荷によって、不安情動の亢進とともに長期学習機能の低下が確認された。海馬においては、情動や認知機能に関連する複数の遺伝子の発現量に影響が認められた。 マウスを使った時間栄養学的研究により、魚油の摂取による脂質代謝改善効果には摂取時刻が影響することを明らかにしてきた。今年度は本知見をもとに実施したヒト試験の結果について論文に発表した。ヒト試験においては、健康な日本人成人男女20名(20~60歳)を2群に分け、プラセボ対照ランダム化二重盲検比較試験で8週間実施した。試験食として、魚肉ソーセージを用い、魚油(DHA 1010 mg, EPA 240 mg/本)もしくは魚油と同量のオリーブ油を添加した。朝食に魚油含有魚肉ソーセージ(魚油朝摂取群)またはプラセボ魚肉ソーセージ(魚油夕摂取群)を1本(50g)摂取し、夕食に異なるソーセージを1本摂取した。その結果、ヒト臨床試験においても、動物試験と同様な結果が得られた。魚油朝食群は、魚油夕食群と比較して、有意にn-3/n-6比が上昇し、血中中性脂肪値の低下が認められた。また、血中飽和脂肪酸濃度の低下も確認され、β酸化の亢進により中性脂肪の再合成が抑制されたことが示唆された。以上の結果から、魚油は朝食時に摂取した方が、より効果的であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症の流行に関する緊急事態宣言等により出勤が制限され、実験業務に支障が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染症の流行拡大阻止に協力しつつ、可能な範囲で研究の加速化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の流行に関する緊急事態宣言等により出勤が制限され、実験業務に支障が生じたため。
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