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2021 年度 実施状況報告書

低栄養進行下での運動誘発性貧血発症機構の検証と栄養科学的アプローチ法の探索

研究課題

研究課題/領域番号 19K11695
研究機関京都府立大学

研究代表者

小林 ゆき子  京都府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (10381930)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードスポーツ貧血 / 運動性溶血 / 高強度運動 / 鉄代謝 / ビタミンD
研究実績の概要

本研究では、運動誘発性貧血(スポーツ貧血)に対して有用で具体的な栄養科学的アプローチ法について検証することを目的とし、昨年度および一昨年度は運動誘発性溶血モデル動物における低摂食量状態下での鉄代謝変動について検証した。本年度は、競技者を対象に高強度運動時の食事因子と鉄代謝変動の関係を検証した。
対象は1日6時間、平均6.3メッツ・時のトレーニングを2ヶ月間実施した競技系ダンス部所属の女子高校生24名とし、ヘモグロビン濃度(Hb)が中央値の12.9 g/dL未満の者を低Hb群(12名)、12.9ng/dL以上の者を正常Hb群(12名)に分け、身体組成、エネルギー・栄養素および食品摂取状況、血液検査データを比較した。身体組成に関して、低Hb群は正常Hb群と比較して除脂肪体重(p=0.023)、骨格筋量(p=0.021)および筋肉量(p=0.023)が有意に高値を示したことから、筋肉量が高いと鉄需要が増し、Hb濃度が低くなる可能性が示された。食事調査の結果、低Hb群は正常Hb群に比べエネルギー摂取量や炭水化物エネルギー比率などがやや低い傾向にあった。また、魚介類摂取量が有意に高く(p=0.045)、これに伴いたんぱく質やビタミンD摂取量がやや高値であった。そこで、血清25OHビタミンD濃度を検討したところ、30 ng/ml以上の充足群の血清鉄濃度は非充足群に比べ有意に高値を示した(p = 0.048)。以上から、トレーニング期では筋肉量の増大により鉄必要量が増すために低Hb濃度を惹起すること、またビタミンDが鉄代謝調節に関係する可能性が示唆された。
次年度では非トレーニング期の食事因子と鉄代謝変動を調査し、トレーニング期と状況が異なる因子を探索する計画である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、ヒト試験を実施し、検証することができているため。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り、ヒトを対象とした試験を継続する。競技者における高強度運動時の食事因子と鉄代謝変動の関係について検証する。今年度と同じ対象者の非トレーニング期での栄養素摂取量、身体活動量、貧血・鉄代謝因子、生化学的検査項目等を調査し、トレーニング期と比較することで、高強度運動時特有の鉄代謝変動の探索を行う計画である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、参加予定であった国際学会および国内学会が延期等により当初の予定どうり開催されずに参加できなかったことが大きい。次年度開催の学会へのエントリー、旅費として使用する計画である。また次年度論文投稿やその投稿に向けた英文校正費としても使用する見込みである。

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公開日: 2022-12-28  

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