研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、アスコルビン酸を合成できないラット(ODSラット)を用いて、鉄欠乏時の骨量減少や脂質代謝異常とアスコルビン酸摂取量の関係について検討することである。壊血病症状を示さない範囲において、飼料中アスコルビン酸投与量を低下させた場合でも、ODSラットへの鉄欠乏食投与は骨密度を低下させた。また、アスコルビン酸合成能の有無による骨代謝への鉄欠乏の影響に違いがみられないことが示唆された。
栄養生理学
超高齢化社会における骨の健康はQOLの観点から重要な問題である。鉄欠乏は貧血のみならず、生体内の様々な代謝に影響を及ぼす可能性があり、骨の健康も考えるとその関連について検討することは重要である。ラットはアスコルビン酸を合成することができるためヒトと異なるが、本研究の結果からは、アスコルビン酸の合成能の有無による鉄欠乏の影響の差異は認められなかった。したがって、ヒトにおいても鉄欠乏の予防をすることが骨の健康を維持する一つの要因である可能性が考えられた。