研究課題/領域番号 |
19K11708
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
佐々木 章宏 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (10711781)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知機能 / 脳 / 加齢 / 疲労 / MRI |
研究実績の概要 |
本研究は疲労および加齢とその相乗効果が脳構造と機能に及ぼす影響の解明を目的としている。2021年度は18歳から79歳までの健常者対象とした磁気共鳴画像装置(MRI, magnetic resonance imaging)を用いて取得した脳構造および拡散テンソル画像を用いて、大脳皮質におけるミエリン、神経突起密度、皮質厚などの脳指標と年齢、性別、認知機能、日常の疲労、精神状態、パーソナリティなどの被験者指標とを用いて、正準相関解析(CCA, canonical correlation analysis)による多変量解析を行った。これを行うため、大脳皮質を360個に分画化し、分画化された領域ごとにPermutationテスト実装したCCA解析プログラムを独自に作成した。CCA解析の結果、360個の分画化された領域のいずれにおいても脳指標の変化は年齢、次いで認知課題のスコアが強い影響を持つことが明らかとなり、年齢が脳構造の変化に及ぼす影響の強さが示唆された。この結果をもとに論文を作成中であり、早期の投稿を目指している。また同時に取得した安静時機能的MRI画像を用いた機能的結合の解析も進めたが、動きによるノイズが多くの被験者で認められたため、機能的結合の解析精度を改善するため、ICAによる信号ノイズ分類の再解析を行った。今後、年齢や日常の疲労などの被験者指標と機能的結合の関連についての解析を進め、脳構造と機能が年齢や日常の疲労によってどのような連関を持つかについて検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ影響で遅れていた複数のプロジェクトが同時に開始したためMRI装置の利用が集中したこと、MRI装置に深刻な故障が生じ修理のため9月中旬以降~2月末まで新たなデータ取得ができない状況となった。一方で、これまで取得したデータの解析、特に安静時脳機能画像のノイズ除去に関する詳細な検討や論文作成を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナの影響やMRI装置の故障により追加データの取得は困難であった。今後はこれまでに取得したデータとHuman Connectome Projectなどの公開データを駆使し、追加データの取得よりも成果発表を進める方針に切り替え、学会発表および国際誌への論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響やMRI装置の故障により追加データ取得のための実験が滞ってしまったため、予定していたMRI装置利用料などが使用されなくなった。本研究で得られた成果発表のため予定している学会参加のためのの旅費と論文投稿にかかる予算として使用する。
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